Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ゴマ信用とJスコア

こんなものがあるのか

最近、朝日新聞が、AIのシンギュラリティの特集をしています。

2019年4月21日の朝日新聞で、中国のアリババのゴマ信用という個人の信用度のスコアと、日本のみずほ銀行ソフトバンクの子会社のJスコアというものがあるという話を読みました。

 

AIを使って、個人の信用度を格付けし、スコア化するようです。

個人の信用度が、身分証、運転免許証、クレジットカードなどの個人情報や、アリババの利用状況、借金返済の遅滞の有無などをもとに、毎月、350~950点で点数化されます。

スコアが高いと割引サービスや、カナダのビザ申請の資料にもなるそうであり、結婚相手としてふさわしいか、ビジネスの相手としてふさわしいかが、スコアで判断されているようです。

 

記事では、中国は性悪説に立つので、従来は踏み倒しや盗難防止のために、保証金をとっていたのが、スコアに代替されるとあり、スコアが下がらないように法律を守る人が増えたとあります。

 

さらに、実験は、12都市にも及び、納税状況、お金の貸し借り、ボランティアへの参加、刑事事件の判決などの行政の知り得る個人情報から、住民に点数を与えるとあります。

 

一方、日本でも、みずほ銀行ソフトバンクの出資する個人ローン「Jスコア」がAIで、1000点満点で個人を評価するサービスをしているとあります。

AIの質問に答えると、評価がなされるようで、2017年9月~2019年4月までで、50万人が評価を受けたようです。

今は、スコアにより、ローンを受ける金額や金利が決まり、割引クーポンがあったり、英会話の無料レッスンがあるようですが、将来は信用データスコアを有料で企業に提供したいとあります。

 

記事では、個人情報をもとにした格付け社会の普及は、反対や不安も多いとあります。

 

コメント

まず、個人情報の保護が厳しい、日本や欧米で、このようなものが受け入れられるのだろうかと疑問に思いました。

個人主義的ではなく、私的領域に、評価機関(アリババなり、行政なり)が侵食しているような感じです。

 

しかし、銀行でお金を借りるときの審査や、クレジットカードを作るときの審査など、実際、毎回、評価はされています。良くは知りませんが、金融機関には、ブラックリスト的なものがあると思います。

勝手に、金融機関で評価されるよりは、客観的な機関に点数化してもらって、その点数を本人が知ることは必ずしも悪いことではないかもしれません。

個人の努力で、点数が改善する仕組みなら、前向きな話からしれません。

 

しかし、高い点数なら良いですが、低い点数のときは、文句を言いたくなります。納得のいく評価というのは、なかなか難しいだろうなという気はします。

 

評価の基準も、設計思想やパラメーターの設定で変わっくると思いますので、ある評価機関の評価は低くて、別の評価機関の評価は高いという場合もありそうです。

 

アリババに対抗して、テンセントも同じようなことをしているようです。

芝麻信用 - Wikipedia

また、日本でもLINEやNTTドコモもやろうとしているようです。

 

Business Insiderで、中国では銀行口座数はそれほど多くなく、それよりも、スマホ決済が普及しており、よって、このような金融スコアが必要であるなどの背景を説明してくれていました。

https://www.businessinsider.jp/post-182638

 

個人的に思ったのは、約1000点満点というのとスコア化されるというのが、英語のTOEICに似ているなという思いました。TOEICは、個人の英語力を測る指標として、日本や韓国で受け入れられています。

 

英語力は受け入れられて、お金の信用力は受け入れられないということも、どうもなさそうです。

日本のJスコアは、1年半で、50万件の個人がスコアを取得したとあります。

若い世代は前向きに受け入れているとありますが、はたして、どうなるのでしょうか?