人間らしくやりたいナ
2019年5月1日の日経で、サントリーの広告を見ました。1頁大の広告です。
オレンジの背景に、白いタキシードを着たアンクル・トリスが出てきて、帽子をとって挨拶しています。
コピーは、
「人間」らしく
やりたいナ
トリスを飲んで
「人間」らしく
やりたいナ
「人間」なんだからナ
新しい時代もナ
です。
トリスハイボールのロゴと、写真、
下段には、SUNTORY WHISKYのロゴがあり、その上に、
since 1923。大正、昭和、平成、そして令和へ。
の文章が、ハンドライティング風で書かれています。
コメント
5月1日あたりには、令和の時代を祝う広告が、沢山あったのですが、一番、目を引いたのは、この広告でした。
お祝いは良いのですが、あまりに同じようなものばかりでは、食傷気味になるのですが、これは違うなあと思いました。
まず、「人間」らしくやりたいナ、のコピーは、聞いたことがあるなと思いました。コピーの最後にある、
新しい時代もナ
が、今回、追加された部分のようです。
調べると開高健さんのコピーだそうです。
「トリス」の名コピー、原発事故後の今こそ価値がある? - ニュース|BOOKSTAND(ブックスタンド)
なるほどと思いました。
サントリーでトリスのキャラクター「アンクルトリス」を作成したイラストレーター・柳原良平さんが語るトリス広告の秘話が載っています。ちょっと長いのですが、引用します。
「昭和36年、1頁大の(新聞)広告を制作することになってテーマを話し合った。世の中はあちらこちらに高速道路ができ、マンションが林立しはじめた高度成長の時代がやってきた頃で、なんとなく土と自然が減り、人らしい生活が近代的なコンクリートづくめになってしまいそうな気がした。二人ともその辺に不満があってちょっと抵抗した広告にしようということになった」
開高は当時、このコピーについて「ちょっと早すぎたかなァ」とボヤいていたそうですが、この広告が掲載されてしばらく経って、各地で公害が発生し、企業の環境破壊がマスコミで大きく取り上げられ始めました。
横浜のみなとみらいの帆船日本丸のとなりに、横浜みなと博物館があります。博物館には、柳原良平さんのアートミュージアムが併設されています。
柳原良平アートミュージアム | 帆船日本丸・横浜みなと博物館
一度、行ったことがあるのですが、横浜を愛しておられたようで、横浜市の広報誌などに、沢山のイラストを描かれていたようです。
東京の美術館のように混んでないですし、良いところだと思います。