商標で展開すると?
2019年5月13日の日経に、「攻めの知財」シフト進むとして、IPランドスケープの紹介がされていました。編集委員の渋谷さんの記事です。
IPランドスケープとは、知財を中心とした情報を、市場での位置づけ、競合関係を含めて統合的に分析し、グラフや模式図を使って経営陣や事業担当者に戦略の切り口を示す活動。欧米企業では定着。日本では、2017年からとあります。
最終的には、M&Aや提携、新事業の提案などにつなげるようであり、これにより、受け身の部門が攻めの部門になり、知財部門がコストセンターから戦略部門になるというもののようです。特に、見せ方が重要とあります。
事例としては、
- ブリヂストンは、3ヶ月に1度、経営陣に対してIPランドスケープを実施。コネクテッドカーのIPランドスケープから、オランダの車両データ会社を1100億円で買収
- 旭化成は、買収した自動車シート大手に、IPランドスケープを実施。評者の知財を組み合わせた新分野への進出を提案。約10名のアナリスト
- 貝印は、知財分析のアナリスト採用
とあります。
記者の分析としては、
- 日本の知財は、出願中心の受け身の存在だったが、IPランドスケープで戦略部門に脱皮できるとあります。
- また、知財は、出願数よりも使い方、活かし方が重要とし、事例として、日本企業は出願数は多いが、電機や半導体は生き残れなかったことを挙げています。
- 企業の経営者は、自社の知財の強み弱みを理解し、事業に生かす作業に参加し、特許の数を超えた真の知財経営に目覚めるべきとします。
コメント
その通りと思いますが、IPランドスケープという言葉がなっただけで、このような活動は、17、18年前から、企業の知財部ではやっていたなという気がします。特に、目新しい感じは、ありません。
その当時、出願や契約といった実務部隊とは別の、知財本部という戦略本社にいたのですが、10名ほどの特許の人(半分は知財プロパー、半分は研究所から来た人)が、この類の仕事をしていました。
そのとき、商標やブランド担当は、何をしていたかですが、社内で発生するブランド問題についてルールを作ることや、ルールを決めるブランド委員会を開催することなどをメインの仕事にしていました。
これはこれで必要な仕事だったのですが、攻めの商標管理、ブランドマネジメントにはなっていません。(管理部門、営業部門、各事業部門で、意見が違い、これはこれで大変でしたが。)
特許は、M&A、提携、新事業が、ターゲットになるのでしょうが、商標・ブランドは、社会から評価、競合との関係、ブランドの強み、弱みの分析、アンバサダーの分析、コ・ブランド先の選定、などとなります。
あるいは、インナーコミュニケーションに寄せて、商標・ブランドでは、組織の目標、組織の一体感、従業員のモチベーションなどがターゲットになるような気がします。
どちらにせよ、戦略的に見ていくとすると、商標は、ブランドマネジメント的に考えないといけないように思います。
商標自体は、星取表でもあれば十分です。NOVAMARKのマップシステムです。
ケラーの戦略的ブラン・ドマネジメントを見ていると、ROLEXがブランド監査をしているとあります。このような評価をしていくことが、商標・ブランドのIPランドスケープだと思います。
"ROREX Brand Audit”で、検索すると、次の事例がありました。内容は良く分かっていないですが、見せ方の工夫が凄いなという気がします。
Rolex brand audit by Stephanie Christofferson on Prezi