1級ブランド専門業務の試験問題
ブランドマネジメントについての検定のようなものがないかと思って、調べていると、知的財産管理技能士の1級にブランド専門業務というものがありました。
この資格については、Wikipediaにまとめがあります。
- 技能検定制度の一種で、国家資格
- 略称は、知財技能士
- 厚生道大臣が指定する指定試験期間が実施
- 学科試験と実技試験がある
- 一般財法人知的財産教育協会が実施
- 2008年に技能士に追加
- 技能の内容に応じ、3級、2級、1級に区分
- 区分および試験範囲は、経済産業省「知財人材スキル標準(IPSS)」に準拠
- 1級は学科試験に合格後、翌々年度までに実技試験に合格すれば1級技能検定の合格者となる
- 1級の実技試験は、口頭試問
試験科目は、
- 1級(ブランド専門業務)
- 1.リスクマネジメント
- 2.契約
- 3.エンフォースメント
- 4.資金調達
- 5.価値評価
- 6.関係法規
- 7.ブランド専門業務
- 7-1.ブランド戦略
- 7-2.情報・調査
- 7-3.国内権利化
- 7-4.外国権利化
- 7-5.ブランド関係法規
とあります。
知的財産管理技能士の数は、97,527名とあります(延べ)。複数の級がありますので、重複があると思いますが、この数は、知財協会加盟各社の知財担当者数が、10万人程度と聞いたことがあるので、それに匹敵する数であり、一大勢力です。
ちなみに、弁理士の数は、2019年5月末段階で、11,789名です。
試験内容も、1年分は、Webサイトに載っていました。
学科試験の方の、最初の3問が、ブランド戦略の設問になっており、はじめて、ブランド戦略の試験問題をみました。
こんな感じなら、問題が作れそうですが、ブランド戦略は、法律と違い根拠になるものが無いのが辛いところです。
ケラーの本からの出題が良いところでしょうか?
あとは、商標法、不競法、税関登録の問題ですが、英文のライセンス契約書が出ていたり、ドメインネーム、模倣品対策、キャラクター、アメリカ商標法やEUTMなどの問題があったりもします。
弁理士試験の問題よりも、より実践的です。
企業で、商標実務をやっている人に有利な問題が多いような感じですが、中には、特許事務所で、商標実務をやっている人に有利な問題もあります。
総合すると、商標関係で、なんでもやっている人が合格するというものでしょうか。
実技試験の口頭試問は、商標法の問題でした。
1級の合格率は、7%とあります。マークシートの筆記試験80%以上で合格とありますので、商標を専門にやっている弁理士でも、ちゃんと勉強しておかないと、合格しないのではないかというレベルです。
なお、この実施団体は、知的財産教育協会とあります。
Wikipediaには、
2016年4月1日付で一般財団法人知的財産研究所と一般社団法人知的財産教育協会とが合併し、一般財団法人知的財産研究教育財団となり、知的財産教育協会はその下部組織とあります。
昔、発明学会の特許管理士というものがありましたが、この技能検定は、より公に近いもののようです。
企業、特に中小企業で、知財管理をする人のための試験ということではありますが、裾野が広がることは、良いことなんだろうと思います。
ちなみに、ブランド専門業務の合格者数は、192名とあります。特許でも1級は、1,803名で少ないのですが、ブランドは、非常にレアです。
たとえば、弁理士でも商標の専門性の高くない弁理士は多いと思います。
ブランド専門業務の1級は、商標に強いということの証拠になるかもしれません。