Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

光触媒マスク

花粉分解に、措置命令

2019年7月5日の日経に、消費者庁が、「光触媒マスク」が、花粉やウイルスの体内への吸入を防ぐかのような宣伝は、合理的根拠がないとして、景品表示法違反(優良誤認)で

大正製薬Dr.C医薬アイリスオーヤマ玉川衛材に再発防止を求める措置命令をだしたという記事がありました。

「光触媒で分解」根拠なし マスク販売4社、違法宣伝 :日本経済新聞

  • 光触媒には有機物の分解作用
  • 4社はマスクの包装に「花粉を水に変える」「光触媒で分解!」「しっかり吸着 光で分解」などと表示
  • 消費者庁は裏付けとなる根拠を求めた
  • 使い捨てマスクを着用するような短時間で表示の効果を実証する資料は提出されなかった
  • 消費者庁は、現在の表示を速やかに取りやめることも求めた

これについては、各社で対応が分かれたようです。

「花粉を水に分解するマスク」への措置命令、各社の反応割れる:日経ビジネス電子版

  • 花粉を水に変えるマスク」(DR.C医薬
  • 「光の力で分解するマスク」(アイリスオーヤマ
  • 「しっかり吸着 光で分解」(玉川衛材
  • 光触媒で分解!」(大正製薬
  • 4社のマスクの効能は微妙に異なる
  • 消費者や専門家からは効果に疑義を呈する声。消費者庁も注視
  • 措置命令を受けての反応は各社で割れた
  • アイリスオーヤマは、すでに販売終了
  • マスクをつけて直ぐに効果のあるものではなかった。効果は誤認だった
  • 玉川衛材は、効果は否定しないが、消費者庁からの指摘は認めた
  • DR.C医薬も、効果は否定していないが、より誤解のない表現で対応する
  • 大正製薬消費者庁の措置を批判
  • 今回の措置命令の指摘事項は、消費者庁に提出した科学的根拠を全く無視した内容で、合理的なものではないと考えている。法的措置も検討中
  • 記者は、誇張表現は消費者を逆に遠ざけてしまう可能性もある

とあります。

 

大正製薬のリリースは、次です。

消費者庁による措置命令について | 大正製薬

  • パブロンマスクの光触媒の効果に関する表示について問題があるとして、措置命令
  • 光触媒が有するウイルス、細菌、花粉の除去の効果に関する科学的根拠に基づいて製品開発を行い、その合理的な根拠に基づいて製品パッケージ表示している
  • 消費者庁から措置命令が出たことは誠に遺憾
  • 消費者庁に提出した科学的根拠を全く無視した内容で、合理的なものでない
  • 法的に採り得る対応・措置を検討中

コメント

光触媒自体は、花粉の分解効果があるとしても、マスクに使用したときに、どれほど、効果がアップするかです。

 

消費者庁の排除措置命令自体は、次にあります。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/pdf/fair_labeling_190704_0012.pdf#search=%27%E5%85%89%E8%A7%A6%E5%AA%92%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AF+%E6%B6%88%E8%B2%BB%E8%80%85%E5%BA%81+%E6%8E%92%E9%99%A4%E6%8E%AA%E7%BD%AE%27

 

各社は光触媒の科学的な有効性は証明できているのだと思います。

ただ、消費者や消費者庁は、このマスクを使って、従来品よりも花粉が体内に吸入されることを防ぐ効果についての優良誤認を言っているのに対して、この点までは証明できないということだと思います。

 

4社のうち、大正製薬だけが争うようです。

 

消費者庁の措置命令には、行政不服審査法行政事件訴訟法で争うことは可能と記載していますが、争うこともあるんだというのが、感想です。

本当に、微妙なところで、戦っているんだなあと思いました。

 

以前であれば、公正取引協議会で、民間同士で議論していた、行き過ぎた宣伝のようなものが、消費者からのホットラインでの苦情・相談を受けて、消費者庁がダイレクトに動くという感じです。

薬事は、昔から厳しい世界ですが、マスクは医薬部外品でもないようです。

消費者としては効果を期待するので、消費者庁が厳しく見るのも、ありがたいと思うような気がします。

 

効果がないことはないし、表現も穏当なものであれば、大正製薬がクレームすることも分からないではないのですが、さて、どうなるのかなあと思います。

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パッケージの外観を見た感じは、どの会社も、50歩100歩です。

 

ただ、大正製薬のマスクは、パブロン365と薬の商標(パブロン)を使っています。ここは、少し気になります。

医薬品ではないものに、医薬品の商標(分類は違う、商品は違う)を使うと、医薬品の安心感のようなものがあり、公的な認証を受けたもののように感じます。

おそらく、大正製薬としても、単なるマスクではなくパブロンのマスクに排除命令というのは、影響が違うのだと思います。

パブロンのファミリーを作って、ブランドの強化するのは分かりますが、問題がないと見極めるまでは、別のブランドとすべきだったのかもしれません。