Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

医薬品はブランドがないビジネス

第一三共 中山譲会長

2019年7月1日の日経電子版で、第一三共の中山会長のコラムを読みました。

www.nikkei.com

  • 酒類業界で17年、医薬品業界で23年
  • 医薬品ビジネスは特に分かりにくい
  • 新薬ビジネスにはブランドが無い
  • 新薬ビジネスでは物質探し、その物質の特許化、臨床試験、当局の承認、市場に
  • 会社のブランドでなく科学データのみ
  • 新薬はなかなか出ない(3万分の1の確率)
  • 特許が切れれば、他社の同じ化合物が臨床試験無しで参入
  • ブランドが無いから、価格差しかない
  • 次の新薬が無ければ、そこで事業は終わる
  • 自社内に無ければ社外の化合物を買いに行かざるをえない
  • 他の事業にはない強い喜び「命の輝き」を感じる

コメント

ブランドが重要な酒類業界におられたので、その対比で考えておられるのでしょうか?

 

中山会長の経歴は、Wikipediaによると、MBA取得後、サントリーに入社サントリー生物医学研究所社長、サントリーファーマ社長、第一製薬取締役、第一三共執行役員、常務、副社長、社長を歴任した後、2017年4月1日より会長兼CEO、とあります。

サントリーなんですね。

 

上の記事は、医療用医薬品のことなんだと思います。一般用医薬品は、サントリーと同様なブランドビジネスです。

 

第一三共株式会社の子会社に、第一三共ヘルスケアという会社があり、その商品を見ていると、

と、良く聞く、薬などの商品ブランドが沢山あります。おそらく、これらは、売上や利益としては小さいのだとうと思います。

 

医療用医薬品は門外漢ですが、特許が切れると、新薬が出てきて、あっという間にシェアを奪われ、価格が低下し、儲からなくなるというのは、そうなんだろうなと思います。

厚生労働省の薬価改定や、健康保険組合ジェネリック医薬品を使いましょうというキャンペーンもあります。

 

面白い業界だなと思います。ジェネリックの会社も、新薬メーカーが新薬を開発してくれないと、自分達の魅力も薄れるという点では、新薬メーカーに依存しています。

 

特許という明確なものがあり、物質特許ですので、医薬品を明確に守れるというのも、特徴です。

 

大学生のころ、特許法などの勉強をしていたのですが、そのとき、渋谷達紀先生の「特許と経済社会ー技術独占の功罪を考える」(日経新書)を読んで、刺激を受けました。大きな図書館などは、持っているかもしれません。 

電気やソフトウェアの業界では、特許制度がなくても、技術進歩は進むが、医薬品や化学の業界は違うというような説明でした。 

特許制度は、医薬品や化学でこそ意味があるんだと思いました。

この本を読んで刺激を受け、大学4年生のときの就職訪問には、何社か製薬会社も行ったのを思い出しました。

 

結局、電機業界に就職し、現在の特許事務所の商標の仕事でも、医薬品自体はあまりタッチしていませんが、医薬品業界は面白いなと思います。チャンスがあればやってみたいなと思います。