Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

山田太郎と山本太郎

静岡・富士宮選管が取り間違え

2019年7月23日の毎日新聞の電子版で、静岡県富士宮市選挙管理委員会が、参院選で、自民党山田太郎氏の全515票を一文字違いのれいわ新選組代表の山本太郎氏に誤って算入していたと発表したという記事がありました。

山田太郎票515票を山本太郎票に 職員思い込みで富士宮市選管集計ミス - 毎日新聞

  • 22日に発表した確定票は山本氏1453票、山田氏0票
  • 訂正後は山本氏938票、山田氏515票
  • 当落に影響はない
  • 票は機械で候補者ごとに集計
  • その後、点検票と呼ばれる紙に票数を記載
  • 立会人の確認を受けて票数が確定
  • 職員が山田氏の束に誤って山本氏の点検票に。立会人も間違いに気づかなかった
  • 22日夜に「山田氏に投票したのに0票になっている」などと市民から問い合わせがあり、ミスが判明
  • 山田氏と山本氏は名前が似ており、事前に十分に注意していたのに職員の思い込みで見誤ってしまった

コメント

富士宮市選挙管理委員会の場合は、0票だったので、投票したのにおかしいとなったようです。

票自体は、機械が集計するようですので、ここではミスがなさそうです。それをまとめて束にして点検票に転記・確認するときに、ミスが起こったようです。点検票の画像は、毎日新聞のWebサイトで確認できます。

 

人間のすることなので、ミスが起こるのは、当然だとは思いますが、ダブルチェックの立会人のチェックもあるのにミスが生じてしまったようです。単純ミスのようです。

 

今回、れいわの山本太郎候補は、注目候補だったので、職員も立合人もその名前を知っていたのだと思います。

一方の山田太郎候補も、参議院議員を2期とありますので、ある程度は有名なはずです。

事前に、候補者の名前をチェックしていれば、間違いやすそうな名前だなとは思ったかもしれません。

山田太郎と云えば、ドカベンの主人公の山田太郎であり、こちらはこちらで、覚えやすい名前です。

 

特許庁の商標審査基準では、ヤマダタロウは6音で、ヤマモトタロウは7音ですので、音数が違うので、称呼類似ではなくなります。違いも「ダ」と「モト」で、まず、称呼上は区別可能とします。

観念(意味)は、氏名ですので、特に意味はありませんし、「田」と「本」の文字に類似点はありません。

ポイントは外観です。選挙では、称呼(発音)してみることもなく、機械も人間も、書かれたものを集計、仕分けするわけですので、外観が重要です。

確かに、外観・見た目は、似ているかもしれません。4つの文字中で、3つまでが同一です。

 

日本の商標出願で、「山田太郎」と「山本太郎」が出願されたら、総合的にみて、別のものとして判断させると思います。

一方、海外では、特にアルファベットの国の考え方ですが、何文字のアルファベットのかたまりを共通にするかというものが、類似の尺度になっていたりします。その考え方では類似となります。

 

少なくとも、今回、富士宮選管は、ミスをしており、実際に、出所混同を起こしています。

 

審査で称呼類似とされたものが、審判に行くと何でも登録になると言う意見を聞くこともありますが、インターネットやスマホの普及したこの時代は、称呼類似も重要だとは思いますが、外観類似をもっと重視すべきではないかと思いました。

 

今回の話は、職員や、立会人というプロでも、このレベルで、混同してしまうという証拠の一つとなる話です。