Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

脱プラ運動

日経の解説記事

2019年8月19日の日経夕刊に、「なぜ今、脱プラ運動?」という記事がありました。

(ニッキィの大疑問)なぜ今、脱プラ運動? 海洋流出5兆個を問題視 :日本経済新聞

  • 海洋プラスチックの研究は10年ほど前から
  • 人工衛星や船による観測データが集まるようにった
  • マイクロプラスチック(大きさ5ミリメートル以下のもの)が広く分布。世界に5兆個が漂っている
  • 2050年までに海に出るプラスチックは約10億トン。魚の重さ約8億トンを上回る
  • ストローやレジ袋は象徴。割合は少ない。実際には、ペットボトルと使い捨て容器(食品トレーなど)
  • 生分解性プラスチックが一つの解。コストと生分解性の生態系の影響研究が必要
  • 欧州は、環境規制を強化。主導権を発揮。環境問題で政治的な力を高める意図
  • また、環境産業の国際競争力向上を狙う
  • マイクロプラスチック自体は、人体に入っても排泄される。問題は、プラスチック表面に付着する化学物質

とあります。

 

コメント

昔からの問題なのに、なぜ、最近、急にこの話を良く聞くようになったのだろうと思っていました。

マイクロプラスチックのデータが集められるようになったことが一番なのでしょうが、欧州発の環境問題を活用した、世界戦略という面があるようです。

 

環境問題を自らの政治的な力の向上に役立てるというのは、賢い方法だなぁと思います。各国とも、環境問題であれば、文句を言いいにくいところがあります。

そして、その分野で欧州が先行して、ルールを作れば、それが世界のルールになります。

欧州企業に仕事が来るなら、更に良いことです。

 

環境ISOもそうですが、環境問題は、欧州にとってはビジネスチャンスなんだろうと思いました。

 

話は変わって、商標の話になりますが、欧州発という点では、商標検索で使う、TM ViewやTM Classが、欧州の戦略を感じます。

TM Viewは、欧州発でありながら、Asean TM VIewなど、世界を席巻しているというものがあります。

 

TM5などで、役割分担をしていると聞いています。日本は、「悪意の商標」などで世界の商標行政に、協力しているようです。

しかし、TM Viewの技術協力の方が、世界への影響は高いように思います。

 

TM Viewのようなシステムで、世界に貢献すると、長い目で見て、各国の商標DBがTM Viewのやり方を踏襲します。

DBなどのシステムが似てくると、商標制度自体も似てくることになると思います。

欧州がやっている商標DBでの協力は、ISOの標準化や、環境問題もそうですが、じわじわと効いてくる、欧州の世界戦略のように思います。

 

一方、日本の類似商標の抽出のシステムは、高度なアルゴリズムが採用されているのだと聞いたことありますが、商標の類似(標章の類似のアルゴリズム、類似群コード)に拘っている点が、そもそも、日本独自のものであり、他国に応用できません。ガラパゴスです。

日本にも、情報システムの力はあると思いますので、惜しいことをしたなと思います。

 

日本も、図形調査のシステムでは貢献するようですので、なんとか一矢報いてもらいたいなとい気がします。