この二人は?
2019年10月11日の、サインのリ・デザイン(弁護士ドットコムのCLOUDEGINのサイト)で、「AI vs 弁理士 商標調査対決」というイベントの紹介がされていました。
レポート「AI vs 弁理士 商標調査対決」—法と実務のプロはAIにどう勝ったのか - サインのリ・デザイン
- 2019年10月10日開催
- Toreru&東京カルチャーカルチャー&弁護士ドットコムクラウドサイン共催によるイベント「AI vs 弁理士 商標調査対決」
- 20問中、AIが13問正解。人間が14問正解の弁理士の勝利
- 出場者は、岡村太一弁理士、中村祥二弁理士など
- AIは、Toreru
- 100名超の会場参加者も参加。会場参加者は、13ポイントがTOP
- togetterのまとめ AIは弁理士を超えるのか⁉︎ AI vs 弁理士 商標調査対決
- 問題作成は、IPTech特許業務法人
- 難しい設問で、20問中10〜11問正解がせいぜいのところかなというもの
- Toreruはほとんど一瞬で答えを出す
- 商標調査では実用段階に入っている
- Toreruの宮崎CEO。ここまでにおよそ4年で到達
- 次は裁判例の公開と司法のAI化
というような内容です。
コメント
面白そうなイベントです。知っていたら行きたかったなと思いました。
AIとの競争に参加している、弁理士の2名ですが、一緒に弁理士会の海外プレゼン研修を受けていたことのある、知り合いの弁理士2名です。こんなところでも活躍しているんだと思いました。
それはさておき、弁護士ドットコムやCROULDESIGNは、弁護士の紹介とか、契約書のWebでの管理とか、リーガルテックの会社ですので、商標調査自体に関心があるというのではなさそうです。(あるかもしれませんが)
基本は、AIの可能性を探るというイベントなのだと思います。商標や特許は、もっともデータ公開が進んでいるし、特許は色んな書き方ができるので、侵害判定が相当難しくなるので、商標の方がAIでの判断に向いているのは、そうだと思います。
もともと、商標の称呼検索のブランディが始まったときも、ブランディは日本初の商標データベースと聞いています。商標とコンピュータは、相性が良いのは間違いありません。
さて、20問中、14問というのは、ちょっと難しい問題が多かったのかなと思います。審査や審判では、意見書や審判請求書の中で、指定商品の取引実情が参酌されてり、実際の使用実績や混同が生じていないことなども主張しますので、その結果である特許庁の判断は色んなものが混じっています。
主催者も10問~11問がせいぜいという問題なので、その程度の正解率で、十分に正しい判断をしているのだと思います。
AIを商標調査に活用するとしたら、難問でチェックするのではなく、普通の設問で、その能力を判断するようにした方が、良いのではないかと思いました。
難問の判断には、特殊事情が入っているので、あまり参考にならないような気がしました。
さて、AIの翻訳では、ロゼッタのK-400 が話題になっており、私も少し使い始めています。一番の良いところは、スピードです。プロの翻訳者に出すと、2日かかるところがたったの2分です。レベルはプロの翻訳者に及ばないようですが、この時間の短さは驚きです。
使い込んで、辞書登録したりすると、更に良くなるのだと思いますので、ちゃんと使っていかないといけないと思っています。
現在、ToreruなどのAIで調査をやっているところは、自分のところで商標出願をしてもらうために、調査は無料というのを顧客勧誘の手段として使っています。
ただ、同じようなことを、将来は、特許庁(J Plat Pat)や他の商標調査DBの会社も提供するようになると思いますので、その意味での優位性は無くなると思います。
商標弁理士の存在価値は、類否判断以外にシフトします。そもそも、類似類似と言っているのは、日本の商標弁理士の悪いところなので、不毛な類似の判断から卒業できるなら、AIの商標での活用は良いことではないかと思います。