資生堂、ソニー、キヤノン、ホーガン・ロヴェルス、東京エレクトロン、IHI
2019年10月10日のjiji.comで、資生堂が知財管理システムとしてANAQUAを採用したという記事を見ました。
記事は、極簡単なものなので、ANAQUAのサイトなどで、ANAQUAのことを調べました。
Anaqua Intellectual Property Management Software and Services
- もともと、Coca-Cola Compan、Ford Motor Company、およびBritish American Tobaccoの知財管理責任者が、システムの問題を議論したところからスタート
- 知財向けの新しいウェブベースの統合型システムの仕様についてコラボレーション
- 特許や商標、意匠、企業秘密、契約に関する知財実務の管理を自動化できる包括的なソフトウェアプラットフォームを共同で検討
- アナクアのワークフロー、分類法、テンプレートには、知財の専門知識が組み込まれている
- 世界中の企業や法律事務所で、ほぼ100万人に上る知財管理責任者や弁護士などがアナクアを利用
- アナクワ・ユーザー会議を年一回開催し、ユーザーの意見を聞き、ユーザーのベストプラクティスを共有。クライアントのコミュニティがある
- 法律事務所のホーガン・ロヴェルスは、アナクワと戦略的パートナーシップ。同事務所は、世界で商標業務。プラットフォームの多言語化とオフィス間のコラボレーション促進
などとあります。
コメント
まず、ANAQUA(アナクワ)というネーミングが面白いなと思いました。ANAとAQUAをくっ付けたような覚えやすいネーミングです。
同社のWebサイトを見ただけですが、資生堂、ソニー、キヤノン、ホンダ、ホーガン・ロヴェルス、東京エレクトロン、IHIなどが、ANAQUAを採用しているようです。
2015年にパナソニックが採用しているので、知財の大手が大挙してANAQUAにシフトしているような感じします。
企業にいたとき、数回ですが、使ったことはあるので、画面などのイメージはあります。PATDATAのようなカード型データベースとは全く異なり、クラウド上の、Webベースのものです。
商標管理の視点からすると、調査から、出願、中間、更新まで一貫して管理できますし、資料がPDFで格納されているので、ペーパーレスが実現できます。
マークアイのT-MOSや、GMOブライツコンサルティングのBrantectと同じですが、特許も出来る点が決定的に違います。
そういう意味では、初めてこのタイプを見たのはT-MOSです。マークアイは、先見性があったということでしょうか。
ペーパーレスの実現、クラウドによる運用コスト削減などもありますが、企業が好むのはワークフローだろうと思います。発明者とのやり取りと上長の許可です。ワークフローがスムーズになり、期間延長などが減るのは、インパクトが大きいように思います。
知財管理がメインですが、注目したのは、特許事務所用の仕様です。従来、企業向けというイメージのあったANAQUAですが、ホーガン・ヴェルスが採用したということは、十分に特許事務所でも使える仕様になっていることだと思います。
ANAQUAのWebサイトを見ていると、ポートフォリオ管理、年金・更新、Dokectingはあるだろうと思っていましたが、外国出願の翻訳や、海外の事務所の見積もりサービスがあるようです。
業務の10%が見積もり作業とすると、これは非常に素晴らしいと思いました。
アナクワは、企業の内部での情報のやり取りがメインですが、これだけ採用企業が増えると、次は、事務所でしょうか。
事務所の課題の一つに、企業ごとに異なる仕様で、事務所のシステムと各企業向けの納品システムの仕様が違って、大変だということがあります。
このANAQUAがデファクトになり、事務所もメリットを受ける時代が来るのかもしれません。