Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

国語世論調査2019 

「天地神明に誓って」の言い方、「憮然」の意味

 2019年10月30日の日経に、文化庁の2018年度の「国語に関する世論調査」のまとめが出ていました。

  • 全国の16歳以上の男女約3600人を対象に調査し、約2000人から回答

慣用句の言い方の質問で、

  • 「天地神明に誓って」「天地天命に誓って」は、本来の言い方ではない方の「天地天命に誓って」を使う人が53.7%。本来の言い方の「天地神明に誓って」は32.1%
  • 「天地天命に誓って」を使う人は若い世代ほど高い傾向
  • 「天命」は良く使う単語だが、「神明」はあまり使われていないことが影響
  • 〇「論陣を張る」29.5%、△「論戦を張る」44.0%
  • 〇「舌の根の乾かぬうちに」24.4%、△「舌の先の乾かぬうちに」24.4%

慣用句の意味についての質問では、

  • 「砂をかむよう」:△「悔しくてたまらない様子」56.9%、〇「無味乾燥でつまらない様子」20ポイント以上下
  • 「憮然」:△「腹を立てている様子」56.7%、〇「失望してぼんやりとしている様子」28.1%(しかし、若い人は、本来の意味で理解。学校が過去のこの調査の結果を受け、授業で教えているため

文化庁は、

  • 言葉の変化は、良い悪いと評価するものではなく、その時々の意味や使われ方を観測しておくことが大事との立場

 コメント

日経の見出しは、「天地神明」「天地神明」ですが、朝日新聞の方は、同じソースについての記事で、「憮然」や「砂をかむ」の方を見出しに使っています。

「憮然」は、同調査で、2003年度、2007年度も同じ調査をして、授業でも扱われることが多いため、若い人ほど、本来の意味を学ぶ機会があるということです。

 

朝日新聞には、「御の字」の意味の調査も出ており、〇「大いにありがたい」36.6%、△「一応、納得できる」49.9%ということでした。

 

この調査、毎年、この種の質問がありますが、言い方(言い回し)の調査よりも、意味の調査の方が、難しいものが多いなという印象です。このような慣用句は、学校で教えてもらうことも多いですが、TVでドラマやトークショーを見て、ニュアンスやイメージを持つことが多いので、学校よりもドラマの脚本などを工夫する方が、修正のためには良さそうです。

 

ただ、文化庁の担当者は、定点観測することが重要で、言葉は変化するものという立ち位置のようですので、そこまでする必要はないということなのでしょう。

学校の先生が、過去の調査を見て、授業で教えるというぐらいが、ちょうど良いというぐらいでしょうか。

 

フランスなどでは、ほっておくと、英語などの影響を強く受けるので、政府がフランス語を守ると聞きますが、日本語はこのような立場で良いのかなと思いました。

 

さて、この調査、慣用句に注目されますが、見てみると、別の国語についての調査結果もあります。

http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf

 

例えば、どちらの表記が望ましいかという質問については、

  • 「ごみ」よりも「ゴミ」が好ましい:「ゴミ」(73.0%)、「ごみ」(20.8%)
  • 「一つ、二つ、三つ」よりも「1つ2つ3つ」が好ましい:「一つ、二つ、三つ」23.6%、「1つ,2つ,3つ」が(66.3%)

とあります。ゴミは、ごみとひらがなで書くと、紛れてしまって読みにくいかなと思いますが、数え方は技術系の文章以外は、日本語では漢字かなと思っていました。

 

 この調査、平成7年から平成30年まであるようです。

平成7年の調査では、氏名のローマ字表記は姓名の順番をどうするかという質問があり、当時は、名→姓が多いようです。

これなどは、毎年、姓→名に変化しているところなのだと思います。

平成7年度「国語に関する世論調査」の結果について | 文化庁

 

確かに、変化するものも多数ありそうです。