284名の合格
2019年10月31日付けで、特許庁のサイトに、本年度の弁理士試験の結果が出ていました。同日に合格者発表があったようです。
- 志願者数 3,862人 (前年度 3,977人)
- 受験者数 3,488人 (前年度 3,587人)
- 受験率(受験者数/志願者数) 90.3% (前年度 90.2%)
- 合格者数 284人 (前年度 260人)
- 合格率(合格者数/受験者数) 8.1% (前年度 7.2%)
- 合格者平均受験回数 4.1回 (前年度 3.8回)
- 年齢別
20代: 16.9%、30代: 49.3%、40代: 21.5%、50代: 9.5%、60代: 2.5%、70代: 0.4%
最年少20歳、最年長76歳 - 職業別
会社員: 46.1%、特許事務所: 34.5%、無職: 8.8%、公務員: 4.6%、学生: 2.8%、
法律事務所: 0.7%、教員: 0.7%、その他: 1.8% - 男女別
男性: 73.6%、女性: 26.4% - 出身校系統別
理工系: 78.2%、法文系: 17.3%、その他: 4.6% - 受験(免除)種別
短答受験者: 34.2%、短答試験免除者: 60.6%、筆記試験免除者: 4.6%、
工業所有権法免除者:0.7%
ということです。
特許庁のサイトには、平成12年から令和元年までの、志願者数と合格者数をプロットしたグラフが出ています。
合格者の平均年齢は、37.8歳 (前年度37.6歳)ということです。
コメント
合格率が8%台になっています。7%と8%では、大差はないように思いますが、少しだけ簡単になったという印象が出てきます。
最近は、特許事務所が弁理士を採用しようとしても、なかなか採用できないという声を良く聞きます。
そのため、少しでも合格者を増やして、採用できる弁理士を増やしたいという特許事務所業界の社会的ニーズはありそうです。
ただ、受験者も合格者も、一番多いのは、会社勤務者です。約半数が会社勤務者ですので、あと20年もすると、弁理士は会社員の資格になると予想しています。
それはさておき、今、弁理士数を増やしても、新しい弁理士は特許事務所ではなく、企業に行くと言います。理由は、企業の方が給与が良いためです。
これは特許事務所業界として、労働配分率を上げるだけでは済まない問題であり、仕事の対価をあげないといけない問題です。
受験者の減少が止まらないことが気になります。韓国や中国とちがって、日本の特許業界に魅力がなくなってしまったので、受験者が減っています。
電機業界の国内向け特許出願は低調かもしれませんが、企業の知財活動や、知財部が低調という感じはしません。
特許事務所の苦境は、標準報酬額表の廃止による対価の低下、合格者増による事務所の乱立などが原因と思います。
何かブレークスルーしないと、じり貧になりそうです。
さて、志願者数と合格者数のグラフを見いて、就職氷河期世代と、志願者数・合格者数がリンクしているかどうか考えてみました。
24歳で修士をでて、38歳で合格するとしますと、14年のタイムラグあり
_ます。
就職氷河期とは、1993年(平成5年)~2005年(平成17年)ぐらいに社会に出た人をいうらしいのですが、これに14年を足すと、2007年(平成19年)~2019年(令和元年)となります。
確かに平成19年は志願者数と合格者数の山のあたりですが、就職氷河期はもっとロングテイルで長いようです。
意図的に合格者(合格率)を減らしたと思われる2013年(平成25年)以降の谷にも該当します。
志願者数を見れば良いのですが、就職氷河期云々よりも、特許業界の将来性が重要なょうでしょうか。
弁理士会の標準報酬額表の廃止が、2001年(平成13年)で、その影響が10年ほどして出ているというというところでしょうか。