2021年に商標契約、2025年に製品供給契約更改
2019年11月6日の日経に出ていた、富士フィルムがゼロックスとの合弁契約を解消して、富士ゼロックスの株式を買い取るという話を読んでいます。
富士フイルム、「稼ぎ頭」富士ゼロックス取り込む :日本経済新聞
これまでの富士フィルムが米ゼロックスを買収するという話から、180度方向返還になります。
- ゼロックス買収契約の発表は、2018年1月
- 大株主の反対。ゼロックスが一方的に契約破棄
- 約2年間、事態は進展せず。今夏ごろから新たな道を模索
- ゼロックスは、一時的にキャッシュ2500億円を取得
- 2021年に技術契約の更改(商標や販売地域を定めた契約)
- ゼロックスは更新しない方針を示していた。更新しないと富士ゼロックスは「ゼロックス」ブランドを使えなくなる
- ゼロックスへの製品供給契約は、5年後に更新が必要
コメント
ブランドや商標の面からすると、ポイントは富士ゼロックスが、「ゼロックス」ブランドを使えなくなるのかどうかです。
この点、富士ゼロックスの社長は、ゼロックスブランドの使用契約を継続できるものと考えていると発言しています。少なくとも製品供給契約がある間は、継続できると考えているのかもしれません。
ゼロックスとしても、リコーか、キャノンか、ブラザーか、どこか全く分かりませんが、製品を供給してくれる会社がないと富士ゼロックスとの商売上の関係を切る訳にはいかないでしょうから、簡単には関係を切れないのだと思います。
製品の修理やメンテナンスを考えると、今までの製品供給元を切ることは理論上不可能ではないにしても、完全に切ることは実際上無理な面はあります。
そうなると、しばらくはこのまま、ということなのでしょうか。
そういう意味では、あまりあり得ない話なのですが、もし富士ゼロックスが「ゼロックス」ブランドが使えなくなったら、どうなるのかなと思います。
例えば「富士フィルム事務機」や「富士事務機」では、パッとしません。前者は、「フィルム」という言葉があり業態が名を体を表していませんし、後者は「富士」なんとかという会社は五万とあるので、独自性がありません。富士電機や富士通の子会社と誤解されるような社名やブランドは採用できません。
アステラスやエルピーダのような、新たな商標を作ることも方法ですが、相当、気合を入れて、スピード感をもってやらないといけません。グローバルに通用する良いネーミングを作り、商標のクリアランスを行い、広告宣伝で周知徹底を行うとすると、2024年でギリギリ、2021年では短か過ぎます。
だんだん、三陽商会とバーバリーと同じような感じになって来ていると思います。ここは、相手方との交渉のカードとしても、新たな商標の準備が必要だとは思います。
ただ、マッキントッシュロンドンでは、バーバリーを埋められなかったように、著名ブランド「ゼロックス」を超えるブランドの構築は難しいと思います。
そういう意味では、最終的には、なんとか、ゼロックスを使える道を探るとなります。
ペーパーレスが進展しているので、複写機や複合機ではなく、一挙に紙や印刷を必要としないサーバーのようなペーパーレス機を作って市場を変え、その名称をブランドにする方法はありますが、今それができるのか、良く分かりません。
本件は、著名ブランドのライセンスを受けるややこしさを感じます。
色んな選択肢はあるのだと思いますが、商標管理からも、ブランドマネジメントからも、時間がないなと感じます。