Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

フォーラムに行ってきました

顧客体験(CX)の構築とマーケティング・流通、ブランド戦略ーデジタルとアナログー

2019年11月26日、関西大学東京センターで行われた、ブランド戦略研究所(BSI)のフォーラムに参加しました。

関西大学の陶山計介先生が理事長をしているBSIのフォーラムです。

だいぶ前に、仕事で一度お世話になったことがある、産業能率大学の小々馬先生が講師ということで、是非行きたいと思い参加しました。

 

実際に話を聞かないと、分からない部分があるのを承知で、メモをまとめると、以下のようなものです。

 

まず、陶山先生から、オープニングレクチャーがあり、製造の時代、製品の時代、販売の時代、マーケティングの時代などがあり、現在は体験の時代だそうです。

 

次に、小々馬敦先生からは、ブランディングの変化と若い人の考え方を説明していただきました。

現在は、ブランド価値を高めるという経営から、今は持続的成長がより重視され、パーパス・ブランディングや、ESG経営にシフトし、サスティナブルがキーワードとのことです。政府の成長戦略、Society5.0もその文脈で理解すべきものということでした。

1990年代のマルチブランド、2000年代のサブブランド、2015年からの企業ブランドとペットネームの時代というのは、面白いと思いました。

 

最近の若者は、クラスターに分かれているそうです。

商品・サービスの選択の基準は、「ときめく」かどうかであり、商品やサービスの価値は企業(ブランド)が決めるのではなく、自分たちが決めると考えているようです。

価値の企業からの押し付けは好まれず、ブランドへの思いや機能をしっかり伝えるということが重要なようです。

この「ときめき」が重要であり、これをさりげなく、しかし、しっかりとデザインするのがCXというように理解しました。

 

続いて、LINEなどを使った画面遷移や、広告までを手掛ける、電通アイソバーの田中信哉取締役からは、みえみえの罠ではなく、気持ちよく騙して欲しいという(エスコートして欲しい)という話や、商品とサービスが溶け出して、融合しており、企業はこれを提示しないといけないという話がありました。

事例としては、Air・DoがLINEと組んで成功している例や、Pfizerの禁煙外来の例がありました。

一貫性と柔軟性という話で、企業のブランドマネージャーの考える一貫性を、消費者は求めていないのではないか(より重要な目的の一貫性でよく、表現の一貫性ではない)というような話もありました。

 

最後に、店舗のICT活用研究所の郡司昇さんからは、小売りの現場でICTを活用してきた経験からの話でした。消費者の購買は、計画購買と非計画購買に分けて考えるべきものということです。

事例としては、Amazon GOの話が面白く、アメリカではコンビニのような小売店でも挨拶を交わすのが普通で、それをしたくない顧客の要望を満たしたものということでした。”JUST WALK OUT"だそうです。

やはり中国は進んでいます。Luckin Coffeeのコーヒーの注文のサービス、生鮮食料品フーマーなど、全く知りませんでした。

日本も、サントリーがLINEでのモバイルオーダーをしていたり、渋谷パルコなどが先進事例があるようです。スーパーのタブレットカートが成果を挙げる一方、スーパーやコンビニのスマホで商品を撮影する決済は失敗しているそうです。

 

その後、パネルディスカッションがあり、若者は、新聞社やTV局よりも、顔が見える個人を信頼している。企業としても、信頼を如何に得るかが重要であるが、それは企業がプッシュするものではなく、消費者が偶然接したものであって、企業は商品・サービスへの思いを語るという点に、注力すべき。

企業の人格が見られており、企業の人格に裏打ちされた企業の振る舞いが重要。

若者は、非計画的消費においては、偶然をもとめ、宝物を見つける感じで、ネットではなく店舗で購入することを好み、また失敗のない商品選択をしている。

一方、計画的消費の商品は、安さなどで選択する。

消費者は、クラスターに分かれており、各クラスターに向けて、着地点までのストーリーをもってCXを作ることが重要。結局は、ビックデータの時代になっても、人間研究が重要。これを誤ると、折角のICT投資が無駄になる。

というような感じでした。

 

情報量が多く、十分に消化は出来ていないのですが、刺激になりました。どんな仕事でも役立つ示唆が含まれていると思いました。