Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

富士ゼロックスが契約更改せずこ

社名は「富士フィルムビジネスイノベーション」に

2019年1月5日22:00の日経電子版に、富士フィルムホールディングスは、ゼロックスとの販売提携を解消するという記事がありました。

富士フイルム、米ゼロックスに販売提携解消を通知 (写真=ロイター) :日本経済新聞

  • 現在は販売地域やブランド使用に関する契約を5年ごとに更新
  • 2021年3月末で契約終了(契約更新せず)
  • 2021年4月からの新社名は「富士フイルムビジネスイノベーション
  • ブランドは「富士フィルム
  • 今後は、欧米市場にも参入
  • 毎年100億円のブランド使用料は必要なくなる
  • ゼロックスへのOEMは当面継続
  • 富士ゼロックスは、これまではブランド契約の更新をする予定だった
  • ゼロックスが米HPに買収提案し、販売提携の解消を示唆する場面もあった
  • これを受けて自ら契約解消を打ち出した

とあります。

 

コメント

2021年3月末というと1年3ヶ月しかありません。新ブランドを考えて、使えるようにするのに、5年あれば何とかなかるかなと思いますが、1年3ヶ月という短い期間にグローバルで新ブランドを立ち上げるのは不可能です。日本の商標の審査のファーストアクションも、最近は12ヶ月かかると言いますので、商標の手当には全く時間が足りません。マドプロ出願でも18ケ月かかる国が多数あります。

 

記事によると、出てきた結論は、ブランド(商標)を「FUJIFILM」にするというものです。社名(商号)も「富士フィルムビジネスイノベーション」とあります。この時期に判断するなら、この名称しかないというところでしょうか。

 

社名が少し長いので、「富士フィルムビジネス」でも良いかと思ったのですが、現在の富士フィルムのスローガンが「Value from Innovation」で、「イノベーション」という言葉を大事にしていると思いますので、思いの入った社名ということもできます。

 

記事には1月5日にゼロックスに通告とありますが、正月休み中ですので、ニュースリリースも出ていません。富士ゼロックスの社員も、この記事には驚いたのではないでしょうか。

 

一方、ゼロックスに対し、OEM供給は継続するとあります。

しかし、ゼロックスが自分よりも大きなHPを買収できたとすると、製品調達のルートが変わり、ゼロックスが直接アジアでも販売するということがありえます。

そのような話もあったと記事にはあります。

 

ゼロックスとしても、HPなどの別の会社と提携できなければ、製品調達は今後も富士フィルムゼロックス(ビジネスイノベーション)頼みとなります。何か、まだまだ、動きがありそうです。HPなどとの提携が上手くいかないと、ぐるっと回って戻ってくるかもしれません。

しかし、その頃には、富士ゼロックス富士フィルムビジネスイノベーションとして、やっていると思いますので、今更、ゼロックスでも無い状態になっているはずです。

 

やはり、他人のブランドで商売するのは危険です。この先も、ドタバタがありそうです。その間にも、ライバルは先に行ってしまいます。

そう考えると、キッパリと「富士フィルム」にするのは、正しい選択であるように思えます。

 

それと、ブランド使用料100億円という記事に、注目しました。富士ゼロックスの2019年3月期の売上が、10,056億円とありますので、対売上比で1%です。

技術的な対価は、別途、支払っているのかもしれませんし、これ単独では評価し辛いのですが、それでもなかなかの金額です。