Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標担当者になったとき読む本(その9)

ネーミング案の決定と調査

1ヶ月間かけて、ネーミング候補3点が上ってきました。

実は、その間、国内商標の開発を先行させていました。最終的にアプトプットするネーミング自体は外国人のクリエイティブディレクターも入った、グローバルネーミングですが、商標権は日本の本社が一元管理します。

 

海外会社に任せると、管理する人が居なかったり、同じような商標を日本から出願したときに海外会社の権利に引っかかったり拒絶になったりして、良いことはありません。

 

この会社では、最近は、マドリッドプロトコル(国際商標登録制度)の利用が多くなり、昔から権利を持っているハウスマーク(コーポレートブランド)以外の新規の外国商標出願では、マドプロを優先的に使うようになっているようです。

 

商標調査や商標出願などの費用は「受益者負担」の原則で事業部持ちであり、本社の知財部はハウスマーク(コーポレートブランド)向けの予算は持っていますが、ペットネームは費用は事業部の予算です。

事業部には、特許庁の印紙代(Official fees)や国内外の特許事務所の費用、さらに、知財部の活動経費として数万円/件を請求してるようです。

同じ社内ですので、知財部の活動費は予め予算化しても同じなのですが、本社予算を肥大化させないための工夫でしょうか、このようにしているようです。

この収入が知財部の活動経費になるとのことであり、知財部は、仕事の多い年は収入増になり、仕事の少ないときは収入減となります。

まあ、人件費を除いた、特許の年間の合計予算(30億円)に比べると、商標の費用は100分の1程度のもの(3000万円)ですので、多少商標の収入にアップダウンがあっても、知財部全体で見るとあまり問題にならないようです。

 

さて、商標調査ですが、素案の段階で「あらぶるい」調査を実施しました。50件ほどの候補について、同一チェックをしました。

国内は特許庁の無料の調査データベースで、海外は有償のデータベースで調査して、どう見ても難しそうなものは、排除しました。

最終的には、3件の候補に絞られ、この3件で国内と海外20ヵ国に調査することが事業部長に報告されました。

 

国内の商標調査は、弁理士の私と、ベテランのCさんで内製できますが、この会社では外国商標は都内のE特許事務所に依頼しています。E特許事務所とは数十年の付き合いがあるようです。

ザクッと考えて、1商標につき、1各国、1分類で約10万円かかるとして、200万円です。3つの商標があり、今回は、2分類の調査が必要となりますので、単純計算では、1200万円必要です。

 

調査の後、出願となります。出願は、1商標に絞られます。各国出願では、1商標につき、1ヵ国、1分類で約20万円かかりますが、マドプロが使える国が半分以上あります。最終的に各国出願200万円(5ヵ国2分類)+マドプロ100万円(15ヵ国2分類)の300万円で、出願することになりました。

(※費用はイメージです)