調査結果を見た事業部長の指示
商標調査結果報告書が返却されてきます。
まず日本です。さすがに一番早く帰ってきました。
結果は、3件とも、「使用可能、登録可能性あり」で一安心です。途中で、あらぶるい調査をしていたので、ある程度は予想してましたが、他の弁理士からも、使用可能と言ってもらうと安心です。
そのあと、次々と調査結果が返却されてきます。F弁理士は、海外の詳細な調査結果に記載の情報を全部記載するのではなく、要点に絞って記載するタイプの弁理士のようです。最後に、F弁理士のE特許事務所としてのコメントが入っています。
一ヵ国、一ヵ国は、これで良いのですが、依頼部署である営業部に対して、どのように報告しようかと思います。
F弁理士は、簡潔に記載してくれていて良いのですが、それでも営業部の人には難しすぎまるようです。識別性、登録性、出所混同、類似など、商標の専門用語などは、一般人には意味不明です。
ベテランのCさんは、営業部の人には、より明確に、①使用可能かどうか、②登録可能かどうか、③最も関係する先行商標、④その他注意事項、の4点で、まとめ直して報告しているようです。
「私」は、このCさんの方法を踏襲しつつ、A4のエクセルで、一覧表にまとめることにしました。
時間の無い営業部長などには、このような1枚で全てが分かる報告書が必要と思ったからです。
調査依頼から、3週間後、すべての調査結果が出てきて、一覧表も完成し、営業部の商標の窓口をしてくれている担当者に報告しました。
報告書は、すぐさま、営業部長に報告され、事業部長と広報宣伝部にも報告されました。
3つの候補中、一つは、どうも状況が芳しくありません。国毎に異なった権利者の商標と抵触するとあります。
他の一つは、スッキリと使用可能あり、登録可能性ありです。商標担当の私はこれを押したくなります。
最後の一つは、複数国で同じ引用例が出てきます。この最後の商標を使用したいときは、相手方の使用実態調査や同意書取得交渉が必要になります。
名称としては良いネーミングです。これが使いたいとなると、面倒な仕事が来ます。
事業部長に、営業部長からの報告があったとき、事業部長の判断は、まず、最後の案の使用可能性を探ること、しかし、時間がないので、1ヶ月半で同意書取得ができないときは、使用可能な別案でいくことというものでした。
営業部の窓口担当者は、営業部長のところに来てくれと言います。
ベテランのCさんに相談すると、一人で行ってこいと言います。営業部長とCさんとは懇意であり、なぜ一緒について行ってくれないのか?と思いましたが、仕方ありません。一人で営業部長に会いに行きます。
営業部長は、若いころに、別のグローバルネーミングを経験したことがあり、ネーミングに関心があり、商標の大切さを体感的に分かっているようです。
営業部長は、上記の事業部長の考えを説明してくれました。
ネーミングの良し悪しは商品の売上に直結します。
商標調査のことを商標クリアランスと言ったりします。「クリアランス」とは「片付ける」「邪魔なものを整理する」という意味ですが、まさにそのような仕事です。
これは、入社早々、大変なことになってきました。