ヒロアカの改造人間を生む医師
2020年2月4日の朝日新聞夕刊で、人気少年漫画のキャラクターの名前に批判が寄せられ、作者が名前を差し控ええる意向を明らかにしたという記事がありました。
- 週刊少年ジャンプの「僕のヒーローアカデミア」
- 改造人間を生み出す医師の名前が「志賀丸太」
- 旧日本軍の731部隊が戦時中、中国人捕虜を「丸太」と呼び生体実験を繰り返したとされる
- 批判が寄せられ、作者は名前を差し替えるとした
- 集英社はコミック収録時に名前の変更をすると発表
- 作者や編集者に意図はないとした
とあります。
コメント
キャラクターの名前は、重要なネーミングの対象です。ミッキーマウス、マリオ、ピカチュー、ガンダム、江戸川コナンとなるとその財産価値は相当なものです。下手なコーポレートブランドよりも、ブランド価値は高いはずです。
自然人の名前の場合は、どんな名前にしようと本来は自由ですので、色んな名前が出てきて、きらきらネームであるとか、その漢字からは読めないような名前とかもあります。時には、子の福祉の視点から問題になる名前もあり「悪魔ちゃん命名騒動事件」などがあったりします。
さて、キャラクターの名前ですが、今回は作者や編集部にそのような意図はなかったということですが、どのようにしたら問題になるような名前を事前にチェックして、回避できるのかは一つの課題であるように思います。
商品やサービスなら、商標のデータベースがありますので、基本はそれを調べて、プラスアルファで有名な商標や実際に使用されている名称をWeb検索してチェックすれば良いとなります。商標専門の弁理士もいますし、継続的に特定の分野を担当していると弁理士の場合、当該分野の商標や商品の知識も上がってきますので、徐々に正確性が増すと思います。
しかし、キャラクターの名称の場合は、基本は人名と同じく自由なものですし、有名なものと同じ名称になると不正競争防止法違反になるケースもあると思いますが、こちらは有名なものが対象と考えればよいので、作者は知や雑誌者の複数人でチェックしていれば避けることができそうです。
ただ、不謹慎であるとか、他人の感情を害するとか、歴史的に問題がある名前であるとかは、有名なものと同じであるというのとは、また違います。
雑誌編集者、特に集英社の雑誌編集者などは相当な高感度人間だと思いますので、その人達が見過ごしてしまうとすると、通常はチェックのしようがないように思います。
あくまで意図がなかったのなら、そのまま変更しないという選択肢もあると思ったのですが、リスクマネジメントからすると、早期に問題を収拾するために幕引きを図ったのかとも思います(今回、たった一日で動いています。リスクマネジメントとしては最高レベルです)。
事前にチェックをしようとすると、マーケティングリサーチのアンケートやグループインタビューの手法を採用すると課題が出てくる可能性はありますが、毎週生み出される名称に、毎回、それをやる訳にもいきません。漫画の場合は、締め切りもあります。
過去、キャラクターの名称で問題になったケースを分析して、編集者や作者で共有し、特に編集者の感度を上げて、内部チェックするしかなさそうです。
万人が読者であるキャラクターとは違いますが、アメリカの商標事件で、THE SLANTS事件、FUCT事件などは、公序良俗違反で米国特許商標庁が商標登録を拒絶して、最高裁まで争いになっています。じょうけんはあるようですが、米国では表現の自由が優先されるようです。