削除の復元要請の却下に対する異議申立の手段
2020年2月4日の日経に、The Economistからの記事で、「フェイスブックがネット『最高裁」?」という見出しの記事がありました。
フェイスブックがネット「最高裁」つくる?(The Economist) (写真=ロイター) :日本経済新聞
フェイスブックやインスタグラムが問題のある投稿を削除して、それに対して復元要請をするようですが、復元要請の却下に対して、異議申立があったときに、判断をする機関ということです。
- 不適切なコンテンツを監督する業務を「モデレーション(適正化)」業務という
- フェイスブックには数千名のモデレータ
- 監督委員会(oversight board)は、モデレーション業務を監督する
- 当局の法規制を避けるための隠れ蓑という意見と、監督委員会がネット世界のオンブズマン、最高裁になるのを期待する意見がある
- 30-40人で、約140億円の予算
- フェイスブックの投稿削除件数は、3ヶ月で約400万件強
- 成人の裸体&性的行為、ヘイトスピーチ、いじめ&ハラスメントなど
- モデレータによる、投稿復元拒否件数は約340万件
- 異議が申し立てられると90日以内に結論を出す。緊急案件は30日以内
- 5人の委員が専門家と協議して判断
- 委員会が審査する件数は、年間数十件
- 公的な取り組みの補完と考える賛成派と、フェイスブックが最高裁になるとして反対派もある
- 将来的には、監督委員会は、データ収集の在り方やアルゴリズム設計に対する発言権も握る可能性
というような内容です。
コメント
この記事の冒頭には、ICANNの設立20周年という話があり、最後にはICANNが「.org」を管理団体ごと約10億ドルで売ったという記事という話があるので気になって読んだのですが、内容としては直接ICANNには関係のない、フェイスブックが投稿者からの異議申立を審査する機関ということのようです。
フェイスブックの監督委員会がICANNのように力をつけるかもしれないということから、ICANNが引き合いにだされているようです(ちょっと遠いです)。
たった3ヶ月で、400万件超の復元要請があり、その却下が340万あって(モデレータが承認してくれるのが60万件)とあります。
しかし、監督委員会が審査できるのは年数十件とあります。
400万件超も削除に対する不服があり、340万件の不服申立に対する却下があります。ここまでは良いのですが、340万件の却下に対して更に不服がある場合は、公的機関に対してクレームすることになると思います。そして、最終的には裁判になるはずです。
さすがに、公的機関や裁判までする人はさすがに少ないので、裁判件数とするれば、年間数十件程度ということも理解できます。
しかし、フェイスブックに不服申立の窓口があるとなると、340万件のうち相当数は不服申立に行くはずです。
どうやって、年間で数十件に絞るのでしょうか?手数料を取る訳にもいかないでしょうし良く分かりません。
フェイスブックとして、議論する値打ちのある苦情だけを審議するというものでしょうか?