Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

特許事務所に勤務して3年が経ちました

出来たことと出来なかったこと、これからやりたいこと

2017年の3月から特許事務所勤務がスタートしたので、この3月で丸3年になります。「石の上にも3年」の3年の期間が終了しました。時が経つのは早いなというのが実感です。

 

大学時代に同じゼミだった弁理士が、同じ商標弁理士で活躍(昨年度は弁理士会の商標委員会の委員長)しているので、まずは彼を目標にしたのですが、やはり12年のブランクがありますので、なかなか追いつくことはできません。

 

3年前に考えたのは、1年間で英語力をつけ、1年間で商標の実務力をつけ、1年間で論文や対外発表で名前を売る、3年経ったら一人前という目標だったのですが、どれも中途半端なように感じます。

おそらく、集中的に1年間は英語だけ、1年間は実務だけ、1年間は論文や対外活動だけとすると良かったのかなという気はしますが、目の前に来たものを順番にこなすしかないので、予定通りには行きませんでした。

 

英語力については、確かに読み書きのスピードはアップしたのですが、もうこれで良いというレベルには到達していません。たまに難しいところを読み間違えていたりしますし、書くことも添削してもらったり、ソフトを使ったり色々やっているのですが、まだまだだなと思います。

TOEICの点数だけは、なんとか当初の目標をクリアーしましたが、思い通りにペラペラとしゃべることができる訳でもありませんし、ここからがスタートだなという感じです。

 

実務力をつけるというのは、経験値を上げるということに近いものです。いちいち外国法制を調べたり、先輩に聞かなくても済む、商標業界の人なら誰でも知っていることを知っている、大体の案件は処理の方法が分かっている、というようなレベルを想定していました。

 

例えば、英語の読み書きが早くなることで2倍のスピードに、調べなくても大体知っていることで2倍のスピードに、2つをかけると外国商標の仕事のスピードが4倍早くなると思っていました。

もともとの素人レベルとのの比較ですから、4倍になっても無茶苦茶早いということでもないのですが、これが目標でした。

 

しかし、最近は、この点、実際には英語の読み書き能力や知識よりも、仕事の処置の順番とか、タイピングのスピードとか、誤解のない分かりやすい日本語とか、別のファクターが重要なんだなと思っています。

 

さて、論文や対外発表ですが、何回か講習会の講師で呼んでもらったり、このブログを毎日書いたりはしていますし、商標協会の外国商標制度部会や、弁理士会の商標委員会にも参加させていただいて多少の発言をしたりはしていますが、論文という明確な形にはなっていません。

 

講習会としては、

  • ブランドと商標というテーマ
  • ブランドマネジメントのテーマ
  • 技術ブランディングのテーマ
  • ネーミングのテーマ

このあたりが持ちネタになってきました。ブランド、商標、商号などだけではなく、ロゴの使い方など、広い範囲を射程にしていますので、社内規程の作成などでも、依頼していただければと対応します。

 

前職のブランドマネジメントや、前前職の商標管理など、考え方や事例調査の仕事をいただき、通常の調査や権利取得とは別の仕事もしているという自負はあります。

他にはない独自性・セールスポイントは、そのあたりになりますので、ここは今後とも大事に育てていきたいところです。

 

この関係で、できれば、企業の商標担当者向けの本を出したいなと思っています。企業の商標担当者になったばかりの方、あるいは、商標も業務範囲になる新しく知財部長になった方などに、体系的に企業の商標管理を説明できればなと思っています。

私の場合、いつも周りに良く内容を理解している先輩がいたので、分からないことは簡単に質問できたのですが、そういう手助けがなく、困っておられる方が沢山おられるなというのが印象です。

知財協会の商標委員会、商標協会の各種委員会にも入れない方も沢山おられるようです。商標協会自体に入っていない会社は沢山あります。

 

それができたら、企業の商標部門のあり方の提言です。シスメックスは王道ですが、アシックスは模倣対策、花王資生堂景品表示法、ミルボンはマーケティングリサーチなどのブランド戦略です。どうも評価されている商標部門は商標権利取得だけではないようです。

 

もう一つ、企業に長くいたので、ある仕事の依頼があった、ある指示があった場合に、企業ではこんなことが起こっていて、担当者は困っているんだろうなということが手に取るように分かるような瞬間があります。

会議などでも企業担当者が云わんとする意味がスッと理解できるということです。このあたりが、企業にいた人間のメリットなのかなという気がします。

 

企業での経験や、ブランドマネジメントでの経験を消してしまうと、30年間一体何をしていたのかということになりますので、これを生かしつつ、新しい商標弁理士象を作ることがライフワークになるのでしょうか。