Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ロレアルやLVMHのコロナ対策

殺菌ジェルの無償配布など

2020年3月19日のWWD JAPANで、ロレアル(L'OREAL)が新型コロナウイルスに対して、ヨーロッパにおいて水性アルコールジェルを大量配布するという記事を見ました。

ロレアルが新型コロナウイルス対策として殺菌ジェルを生産 医療機関や中小企業に提供 | WWD JAPAN.com

  • 新型コロナウイルスに対して戦う人々を讃え、応援し、感謝の意を示したい
  • 病院や介護施設、薬局に消毒ジェルを配給
  • 消毒ジェルを数百万個、ヨーロッパの食品企業に無償で提供
  • ヘアサロンや専門店などに対して、営業が再開するまで売掛け金の回収を停止
  • 影響を受けたディストリビューターに対しては支払いを早め、現金払いを可能に
  • 被害を受けた人の支援団体に約1億1800万円を寄付
  • LVMHは、コスメブランドの生産ラインで消毒ジェルの生産を発表
  • フランス国内の医療機関に水性アルコールジェルを無償で提供

LVMHが香水とコスメの生産ラインで殺菌ジェル生産へ 医療機関などに無償提供 | WWD JAPAN.com

 

コメント

さすがだな~と思いました。ブランド戦略の教科書に載るような素晴らしい事例です。顧客が困っているときに、すぐさま対策を取っており、企業の考え方や、肝の据わり方が垣間見えます。

こんなときに、このような活動ができるのは、ヨーロッパの企業は大人だなという感じがします。

 

SDGsというのか、CSRというのか、ブランド戦略というのかか、リスクマネジメンというのか、言い方は色々あると思いますが、困っているときに助けてもらったことは、後々まで好印象で続きます。

 

一体、ロレアルやLVMHの工場は、どこにあるのでしょうか?フランスなんでしょうか?あるいは、世界中にあるのでしょうか?

 

以前の会社でも震災があれば、電池や懐中電灯を無償で届けることを一番はじめにやっていました。特にニュースにもなりませんが、社員には活動内容を伝えていたと思います。

 

欧州の会社のしたたかさは、これを対外発表する点ですが、陰徳の時代でもないので、それは良いのではないかと思います。

 

1月29日の記事で、少し古い記事ですが、欧州や中国の各社が、中国の湖北省赤十字などに多額の寄付をしていたようです。

新型コロナウイルス対策に「ルイ・ヴィトン」親会社が2億円超の寄付 多くの企業が支援を表明 | WWD JAPAN.com

  • LVMH:中国赤十字基金会約2億4000万円
  • ケリング:湖北省赤十字基金に約1億1250万円
  • ロレアル:中国赤十字基金に約7500万円
  • エスティ ローダー:約3000万円
  • 資生堂:約1500万円
  • スワロフスキー:約4500万円
  • 中国のアリババ:約150億円
  • テンセント:約45億円
  • JDドットコム:手術用マスクを100万枚、消毒液や抗ウィルス剤などの医療品を6万ユニット
  • 大手カシミヤメーカーのオルドス:コートの生産工場でマスクや防護服を無料で生産
  • 新型コロナウイルス対策の支援として、現時点で合計約3000億円以上が寄付されたと試算

この時は、欧州企業にとっては、まだ対岸の火事だったのだろうと思います。日本企業は何をしているのかと思ったのですが、記事に資生堂の名前が入っていてほっとしました。

2月6日の時事に、資生堂がアジアの売上の1%を寄付するという記事があり、具体的には上海市慈善基金会に約1億5000万円を寄付とあります。

2月5日の通販通信に、ファンケルがマスクを武漢に20万円寄付という記事もありました。

 

2月中旬からは日本で大変なことになり、3月になり世界的が大変になっていますが、日本企業も在宅勤務等で社員を守ることで精一杯で、本業を通じた支援に乗り出すことが出来ていないような感じです。

 

マスクは中国に生産拠点があって、日本では増産できないようなことを聞きますが、台湾では現地生産をしているというニュースを聞きます。

除菌ジェルなども、日本でも生産できそうな気がします。日本企業も、今、本気で増産しないと海外企業とのブランド格差が開く一方のような気がします。

 

ここで、欧州のロレアルやLVMHのように踏ん張った会社だけが、次の時代に通用するブランドとして生き残ることになるんだろうなと思いました。