Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

電子契約の効力

電子署名者の違い

2020年5月30日の日経に、電子契約の効力についての記事がありました。本人が電子署名することを前提にした電子署名法があるが、現在主流の電子契約サービスは第三者による電子署名である。海外では第三者による電子署名でも有効な契約と判例で認められているが、日本では認められておらず、立法的解決が必要であるという記事です。

電子契約の効力 法的リスクも: 日本経済新聞

  • 電子署名法は、電子文書への電子署名に手書きの署名や押印と同等の効力を持たせる
  • 同法3条に電子文書に本人だけが行える電子署名がなされていれば、文書は本物として成立すると規定
  • 現在主流のクラウド型は、当事者同士が電子署名せず、契約書をネット上で双方が確認し、立ち会った弁護士がその名義で、契約書が甲と乙によるものであることを確認したと電子署名するもの
  • 契約当事者双方は電子証明書などの取得が不要
  • 契約の形式は本来自由であり、立会人型でも成立
  • また、英米では、立会人型の電子契約が普及し、判例で有効性確認
  • しかし、法務省クラウド型は電子署名法3条の推定効はないという見解
  • 日本組織内弁護士協会は、クラウド上の電子署名の有効性を認めて欲しいと訴え

というような内容です。

 

コメント

クラウド型電子契約は、4月に1月~3月の累計件数を上回るなど、最近急成長している事業分野です。TM CMも良く見ます。

 

記事には、弁護士ドットコムのクラウドサインが代表例として挙がっています。まあ、ここまで普及してしまえば、クラウド型でも、契約の有効性を否定するのは難しそうですが、多少はもめる可能性はあるということでしょうか。

 

クラウドサインのWebサイトを見ましたが、電子契約で80%のシェアがあるとあります。

テレワーク特設サイト|電子契約クラウドサイン

立会人型か本人の電子署名型かは、Webサイトの記載からだけでは、良く分かりません。クラウドサインによる契約締結の法的な問題点については、次のように説明しています。

日本の法律では基本的に契約方式は自由であり(契約方式自由の原則)、当サービスで契約を結ぶことに問題はありません。また電子署名の付与、合意締結証明書の発行により証拠力を担保しています。

 

弁護士ドットコムは弁護士が運用しているので、弁護士による電子署名ということが可能ですが、他のサービスでは、どうなのでしょうか?

GMO電子契約AgreeのWebサイトを見ていると、複数のサービスを提供しているようです。

GMO電子印鑑Agree|電子契約の電子署名・サイン

印影を使用するタイプ(電子印影)、メールで認証するタイプと手書きサインを追加するもの(電子サイン)、電子署名するタイプ(電子署名)と、3種類に分けてサービスを提供しているようです。

「(電子)サイン」と「(電子)署名」、違うんですね。

 

電子署名のものですが、本人が電子署名を届けておくとありますので、立会人型ではなく、本人の電子署名型だとは思いますが、双方の会社が電子署名を届けておかないとできないですよね。

そこはどうなっているのでしょうか?

 

社長名での押印といっても、実際に押印するのは、文書課の方だったりすると思いますし、意思決定も担当役員とかだと思います。出願委任状への押印レベルなら課長レベルにエンパワメントされていると思います。

 

電子契約の内容を承認したと連絡するのも、最終的には法務や知財の課長や担当レベルと思いますが、そのエンパワメントも内部的には明確にしておかないといけないですね。

電子契約をするなら、同時に内部の仕組みを決めないといけないように思いました。