今国会は見送り?
2020年5月29日の朝日新聞のニュースQ3の欄で、種苗法の改正が議論になっているという記事がありました。
俳優の柴咲コウさんがツイッターで反対意見を発信しているとあります。
シャインマスカットなど、果物の国外流出を防止するための改正だそうです。改正のポイントは、
- 開発者が新品種登録する際に、輸出国や栽培地域を指定できるようにする
- 農家が収穫物から種や苗を採る「自家増殖」を見直し、従来自由だったものを開発者の許諾を必要とする(許諾料が必要)
- 一般品種(巨峰、デラウェア)では不要で、登録品種(シャインマスカット、ナガノパープル)のみ
- 反対意見には、大資本の多国籍企業に有利になるというものと、日本農業の弱体化、食の崩壊につながるというもの
という内容です。
2020年5月21日の日本農業新聞の記事では、新型コロナ対策が最優先で、今回の審議は見送られて次期国会での審議となるとあります。
日本農業新聞は、法改正の前に、開発者が海外で品種登録することを優先すべきとあります。また、「種の権利」は、家族農業を支え、食料主権の根幹をなすものとしており、基本的には反対の姿勢のようです。
コメント
おそらく反対があるのは、日本農業新聞にある「種の権利」のあたりの論点だろうと思います。
海外でも品種登録はできるが、それが出来ていない現状というものも見えます。種苗会社ならともかく、試験場などで出来たものは予算の都合で、そこまでできないということなんでしょうか。
種苗法は名前は良く聞きますが、内容は理解できていません。
手元の知的財産権法文集を見ると、種苗法が載っていました。弁理士も知っておかないといけない法律なんですね。
簡単に説明しているものはないかと調べたのですが、Wikipediaもあまり詳しくありませんでした。そのところ、農林水産省のパンフレットがありした。http://www.hinshu2.maff.go.jp/pvr/pamphlet/seido.pdf
とりあえずは、これと条文があれば、十分です。
保護期間が、25年とか30年とかあり、木のもの(果樹)などは30年とあります。
花木や、オクラ、きゅうり、とまと、キャベツなどの野菜など、既に自家増殖が禁止されているものも、沢山あるようです。
さて、種苗法の条文ですが、特許によく似ています。
とっつきやすい感じです。
シャインマスカットなどの登録品種の名称は、使用する義務があるようですし、違う品種に名称を使ってはいけないとあります(22条:名称を使用する義務等)。
また、虚偽表示の禁止(56条)や虚偽表示の罰(69条)もあります。面白いところでは、虚偽の表示した指定種苗の販売等の罪というものが別にあります(71条)。
朝日新聞によると、巨峰やデラウェアなどは、一般品種ということですが、品種の名称は、過去に登録品種であったものも、名称使用義務等はあるようです(22条)ので、巨峰はずっと巨峰のままですね。
虚偽表示や虚偽表示の罪はどうなるのかについては、良く分かりせんでした。
商標登録をしている品種名も多いと思います。