Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

買いました(これから読みます)

新・商標法概説【第2版】

小野昌延先生、三山俊司先生の「新・商標法概説【第2番】(青林書院)」を買いました。 

新・商標法概説

新・商標法概説

 

帯に「実務家のための本格的概説書」とあり、平成26年商標法改正の新旧対象表と主要な追加裁判例をまとめた「補遺」を緊急別冊!!」とあります。

 

2005年~2017年までの12年間、知財とは別のブランドマネジメントの仕事をしていたのと、今も外国商標の仕事なので、国内商標のことはキャッチアップしないといけないと、思っています。

弁理士会の研修会や特許庁の研修会などで、ある程度のことは知っていますが、一度体書籍を読んでみるのが良いかと思いました。

 

一つの方法は、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説、いわゆる青本、を通読することだと思いますが、やはり何か体系書が無いかなと思って探していました。

 

小野先生の「商標法概説」については、自宅に1989年の有斐閣版があります。これはコンパクトですが、いかにも法律の体系書という書籍です。大学の法学部で商標法を学んでいるという感じの本です。

購入した青林書院版の「新・商標法概説」は、実務家のための本格的概説書とあるように、少し対象者が違うようです。「はしがき」に、判例を多く紹介し、学説の紹介を控えているとあります。

青林書院の「新・商標法概説」は、初版のときは、小野先生の単独著書ですが、初版も判例の提供などは、三山先生がされていたそうです。

そして、「新・商標法概説」の第2版では、お二人の共著になっています。

 

まだ、じっくりと読んでいないので、さっと見ての感想です。

 

3つの大きな部分になっています。

1.序論(商標とは、商標の機能、商標法の沿革など):

外国法制の比較をしっかりやっている概説書は少ないのですが、共同体商標法まではカバーされています。フランス法、イギリス法、ドイツ法にも言及があり、さすが小野先生です。

 

2.実体的商標法(登録要件、効力、侵害救済など):

通常の商標法の本で一番重視されるところですが、さすがに、小野先生ですので、効力や救済のあたりはボリュームがあります。最近、弁理士会の商標委員会で聞くような議論(「類似」の概念は、登録時と侵害時では違うなどの見解)について、何か参考になるようなことを書いていないかなと思います。(※ 通常は同じ法律の同じ用語は、同じように解釈すべきなんだろうと思います。)

 

3.手続的商標法(特許、弁理士、手続通則、期限、出願、先願主義、審査、審判、訴訟):

ここが一番の驚きでした。この本だけを見た弁護士が、特許の知識を前提とせず、手続きができるように工夫されている感じがしました。特許法の準用条文の多い商標ですが、そうなると特許法の勉強をしないと商標事件に対応できないことになります。しかし、このようにまとまっていると非常に便利です。以前から、商標法から、特許法の準用を無くすべきという意見は良く聞きますが、それを体系書で実現したような感じで、非常に良いなと思いました。

 

この本を商標業界の標準として、それ以外の本を読むと理解が深まるのではないかと思いました。

辞書替わりに引いたり、時間のあるときに通読読しようと思います。