タイは撤退、中国合弁で訴訟
2020年8月7日の日経に、ファミリーマートがアジアで苦境という記事がありました。
ファミマ、アジアで苦境 浮上のカギは伊藤忠に :日本経済新聞
- タイでは合弁会社の出資引き揚げ
- 現地会社の株式49%を手放し、事業をライセンス形態に切り替え。約1000店舗。看板は残すが、事実上の撤退。おでんが苦戦の象徴
- タイでは、セブンイレブンは1万2000店と成功。CPグループがパートナーだが、資本関係はない
- 約2800店の中国では現地パートナー(台湾系企業)と訴訟。長期にわたるライセンス料の未払い。合弁会社株の売却を求める訴訟
- 2014年には韓国でパートナー企業と決裂して、撤退。約8000店を失った
- 50.1%の株主である伊藤忠(現在100%に向けTOB中)を中心に、中国事業でのテコ入れ
- 日本流の運営と現地のニーズに合った商品展開の両立のため、ファミマは、原則、現地企業との合弁会社で店舗展開
- ファミマの海外売上高比率は13%。セブン&アイ・ホールディングスの39%と比べ大きな差
コメント
セブン&アイHDによる、米スピードウェイの2兆2000億円での買収から、日経は流通ネタが多くなっています。
この記事も、その延長だろうと思います。
面白いと思ったのは、海外売上高比率です。ファミマはアジアを中心に展開しているようですが、13%という数字であるのに対して、セブン&アイHDは、39%もあります。
この数字、スピードウェイは入っていない思われますので、入れると更にアップするのではないでしょうか。
セブン&アイHDは、グローバル企業になっているだなと思います。
セブンイレブンは、既に世界に7万店があり、アメリカ等が強いのも特徴です。
12月末現在、日本で2万988店、アジアで3万6261店、アメリカ・カナダ・メキシコで1万1829店、オーストラリア708店、ヨーロッパ409店、中東12店、全世界合計7万207店となった。
セブンイレブン/世界で7万店突破、17の国と地域で展開 | 流通ニュース
セブンイレブンの海外戦略は、米国のSeven-Eleven Inc.が、ライセンス権をもっているのが特徴です。
1991年に経営破綻して、日本のイトーヨーカドーの傘下に入りますが、おそらく、商標権は米国に置いたままです。
(当時は、米国のセブンイレブンが、商標権をリース会社に引き渡されるで、日本で商標権が使えなくなるところだったそうです。
セブン、10年周期の成功方程式 再び起きるか :日本経済新聞 )
米国企業の商標権を日本に名義変更すると、税金を支払う必要が生じ、米国籍の子会社のものにしておくことが多いのですが、これもそうだろうと思います。
その延長で、現在でも、海外の商標権は米国の7-Eleven, Inc.の名義のようです。
商標権が米国子会社にあるとすると、そこからのライセンスとなるのは自然です。
米国は、ライセンスの先進国ですし、米国の弁護士は強いですので、ライセンスにはうってつけです。
日本では、昭和34年のライセンス制度の導入時に、品質管理とランセンスを切り離してしまったのですが、米国はNakedライセンスの理論で品質管理のないライセンスは、商標登録の無効になりますので、皆、積極的に品質管理が商標ライセンスの前提になるので、この制度は、フランチャイズでは絶大な力をもちます。
コンビニでは、セブンイレブン・ジャパンの店舗運用方法などは、良い点があるのでしょうが、これを海外で生かすには、法務の力が必須です。法務の力と品質管理が一体になったものが、本来的な意味ので商標管理です。
セブンイレブンは図らずも、日本人の苦手な商標「ライセンス」の運用を、米国のセブンイレブンを関与させざるを得ない点で、実現できているといえ、ここが、ファミマとセブンイレブンの大きな違いだろうと思います。
ファミマの海外での強化のポイントの一つは、法務力・商標管理力の強化だろうと思います。
商標は血縁よりも契約です。