政府の通達
2020年7月21日の日経に、立会人型の、クラウドを使った電子署名サービスを利用した電子署名の有効性について、法務省、総務省、経済産業省が、電子署名法の条文解釈をまとめた文書を公表したという記事がありました。
電子証明書ない「電子署名」も有効 政府見解、事前登録不要に :日本経済新聞
- 電子証明書はその電子署名が本人名義であることを証明するもの
- 事前登録が必要で、発行に数週間
- 電子署名法(2001年)は、利用者本人が自らの名義で署名することを想定
- 現在は、当事者同士の合意を第三者が電子署名して証明する、立会人型のサービスが進む
- 今回、当事者の電子署名でないが、証拠として有効であることが認められた
- 「物理的に措置を自ら行う必要はなく、利用者の意思に基づいていることが明らかなら要件を満たす」
- 近く、立会人型の電子署名を使った文書が、「本人の意思が明確であるため訴訟時に証拠となり得る」との解釈も示すとみられる
コメント
そもそも契約は合意のみで必要に成立しますが、2020年6月19日に、内閣府、法務省、経済産業省の連名で、「押印に関するQ&A」が出て、押印がなくても、契約書が有効な場合のQ&Aが出ています。
電子証明書ない「電子署名」も有効 政府見解、事前登録不要に :日本経済新聞
今回の「電子署名に関するQ&A」は、その第二段階の位置づけのようです。
今回もQ&Aの形式です。
利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/denshishomei_qa.pdf
前回は、内閣府、法務省、経済産業省だったのが、今回は、総務省、法務省、経済産業省となっています。
電子署名は総務省が推進したので、内閣府ではなく総務省になっているのだと思います。
内容としては、
利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。
とあります。
契約ですので、当事者双方がいるとして、サービス提供事業者は、2回電子署名するのでしょうか?あるいは、当事者双方の合意が成立した段階で、一回だけ電子署名するのでしょうか?
弁護士ドットコムのクラウドサインを見た感じでは、一回だけの電子署名のように思われます。
今回は、現在主流の弁護士ドットコムや米ドキュサインの立会人型電子署名は、電子署名として有効なものということについて、政府のお墨付きがでたような感じです。
この種のサービスの利用者が増えるのではないかと思われます。
日経の記事には、更に、立会人型の電子署名の裁判での有効性について、文書がでるのではないかとしています。
裁判での有効性ですので、法務省は出るとして、内閣府や総務省、経済産業省は、出てくるのでしょうか。