ここは、商標権と著作権と抵触関係についての判例の紹介が面白いところでしょうか。
商標権と著作権の抵触は、岩波書店のミレーの種まく人のような著作物的色彩のある登録商標の使用について、著作権と抵触するときは著作権者の使用許諾を得なければならない。
●ポパイマフラー事件
著作権が先発生。商標権は後願。著作権者の許諾を得て、マフラーを製造・販売。ポパイの図形は、著作権者の許諾により商標権侵害ではない。しかし、「POPEYE」「ポパイ」の文字については商標権侵害になる。
最高裁は、これを商標権の権利濫用とした。重要判決。とあります。
●UNDER THE SUN事件
井上陽水のCDのタイトル。
●POS事件
●気功術事件
●三国志事件
ゲームソフトの題号。
これらについては、著作物の題号であり、商標権侵害にならない。
一方、
●本当にあったHな話事件
こちらは漫画雑誌の表題であるが、商標権侵害を肯定した。
とあります。
コメント
ポパイの事件は、昔から、いろんな商標関係の研修会で聞いていたのですが、第1事件は第2事件や、複数あって、理解が追いついていません。
小野先生のように、簡潔に整理していただけると助かります。
さて、著作物の題号です。3条1項3号で、書籍の題号は著作物の内容を表す品質表示語であり、登録されないという話です。
同じことは、レコード・CDでも、ゲームタイトル、映画の題号でも言えます。(この場合、出版社の名称、レーベルなどは、商標を取得しています。)
しかし、雑誌の名称の場合は、商標登録の対象になる言います。
この点なのですが、アメリカなどでは、テレビ番組であっても、シリーズ化されているようなものは、商標登録の対象になるようです。
一度、テレビ番組にタイトルの商標権者(有名な映画会社)から、米国で異議申立をされて、和解金のパーセンテージまで記載があるレターをもらったことがあります。
一方、書籍、CD、映画は、商標調査・出願などはしないようですが、ゲームの場合は、商標調査をし、積極的に権利化をしています。
同じ著作物のタイトルなのに、この違いは何なのかと思ったりします。ソフトウェアという資本をかけた製作物という面があるのと、「どうぶつの森」ではないですが、ゲームの方がシリ―ズ化される可能性が高く、当該題号が、著作物の内容というよりは、一つの商品の名称となっているということでしょうか。
また、タイトルは、3条1項3号の話ですので、使用による顕著性があれば、商標登録をとれそうです。
最近は、漫画や小説を起点にして、それが映画化されたり、映画がビデオになったり、テレビ番組になったりと、他メディアへの展開が多いのですが、ゲームにまでなるのは少ないかもしれません。
「スターウォーズ」は、関連グッズも沢山あり、これを商標と整理しないと整理しきれません。「ハリー・ポッター」もそうでしょうか。日本なら「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」は、シリーズ化という意味では、同じレベルなのだろうと思います。
芸能人の芸名について、商標登録することは、一般的なことになっていますので、これらの題号系も、ライセンスなどを考えると、商標登録をしておこうというのは、分からないではない話です。