専用使用権・通常使用権
使用許諾制度の国際比較があまりないのですが、基本は通常使用権のところの青本の記載を引いています。
現行法は、商標権の財産性・自由譲渡性を重視し、こに関連して「商標使用許諾制度」を設けた。そして、需要者保護としては、
「商標権者としては十分に信用できる者に対してのみ使用許諾をし、かつ、使用者の商品の管理は十分注意するだろうから、使用許諾によって一般公衆が不足の損害を蒙るおそれはないもの」と考え(逐条解説)、
無制約の商標使用許諾制度を設けた。
これに対しては登録取消審判制度のみに、(需要者保護の)制度的な保障を求めた現行法は、公衆保護が不十分であるとされる。
また、専用使用権のところにありますが、商標使用許諾制度が、外国立法例に比して経済的便宜にやや流れすぎ、監督・品質保証などの点で無制約すぎると批判されている。消費者の観点から、許諾制度の再検討をする必要がある、とされています。
また、専用使用権については、立法時から、商標権者が使用できない登録商標を認めることへの反対論が多かったとあります。
一般的に、専用使用権は物権的なものであり、通常使用権は債権的なものとありますが、独占的通常使用権は損害賠償は認められ、差止が認められるケースもあり、通常使用権は差止は否定的であるが、損害賠償は肯定説も有力。
通常使用権の性質についは、物権ではなく債権とされるが、佐藤先生は物権説、とあります。
コメント
今の時代、ライセンス抜きで商標制度は語れません。
外国では専用使用権というものがなく、LicenseとExclusive License なので、専用使用権というものが必要だったのか?とされる点です。
(通常)使用許諾を債権的に考え、差止請求、損害賠償請求を認めないので、認める方策として専用使用権というものを発明したのだと思いますが、本来は債権侵害の延長で、通常使用権であっても差止請求まで認めるというのが、良いように思います。
あるいは、佐藤説のように、通常使用権を物権と捉えれるかです。
さて、旧英国法のRegistered User制度は、行政がライセンスをチェックするものであり、米国のNaked Licenseは、品質管理がないライセンスは、Related companyへのライセンスではないとして、商標登録自体を無効にするという考えです。
しかし、英国はEUTM(CTM)に入り、英国本国では、役所が事前チェックするRegistered User制度は無くなっています。事前チェックというもの人気がないのが、理由だろうと思います。
米国のNaked Licenseの品質管理も、キャラクターマーチャダイジングなどでは何もやっていなかったり、反対に過剰に品質管理の名のもとに情報を吸い取るライセンスが問題になったりしています。
米国流のやり方にも、上のように課題はあるようですが、企業の実務は、ほとんど、米国の品質管理をベースとしたライセンスです。ライセンスについては、いろいろネタもありますが、書ききれません。
商標ライセンスの教科書は、コカ・コーラ、マクドナルド、ディズニーでしょうか。
企業が商標管理として実施している項目なのですが、品質管理と一体になった商標管理は、あまり聞いたことがありません。
ライセンスを通じた、品質管理に資する商標制度にした方が絶対に良いと思います。
法律の本のネタとなる項目は少ないのかもしれませんが、商標ライセンスは重要なテーマだろうと思います。