Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ソニーの車(VISION-S)

無形資産経営の象徴

2020年8月22日付けの日経のDeep Insight の中山コメンテーターの記事を読みました。

無形経済の道、ソニー走る 車産業を「軽く」する :日本経済新聞

 

  • ソニーの電気自動車「VISION-S」は、コンセプトカーであるが本格的。公道実験に入り、SUVも開発する
  • ソニーは、リチウムイオン電池を日本で初めて商用化した会社。CMOSセンサーの最大手
  • ソニーは、デザインを担当。部品は、ボッシュやZFから。組み立てはオーストラリアのマグナ・シュタイヤ-という受託製造企業
  • アセットライト。一方、フォルクスワーゲントヨタは有形固定資産が多い
  • 2050年にはエンジン(内燃機関)は、EVに抜かれる。アセットライトへ
  • 自動車業界は、有形資産の売却が必要。また、価値ある無形資産の強化が必要
  • 日本の製造業は有形資産が多い。軸足を柔軟にする必要

 

コメント

ソニーの「VISION-S」はテレビのニュースで見たことがあります。十分にテスラに対抗できるようなデザインでした。

 

一般的に、電機メーカーが電気自動車を作るのは、コンセプトカーであり、部品や要素技術、機器の実験の延長であって、お客さんである自動車メーカーに部品や機器を買ってもらうためのデモンストレーションです。

しかし、ソニーの「VISION-S」は、それを超えているような気がします。今直ぐ発売しても、十分売れそうな車になっています。

Sony Japan | VISION-S

 

上の記事で、面白かったのは、オーストラリアの受託製造会社であるマグナ・シュタイヤ-という会社があるという点でしょうか。

アパレルや、鴻海精密工業のような電子機器では一般的ですが、自動車では初めて聞きました。

自動車の製造には、広い敷地や設備、熟練工が必要で、簡単ではないと思っていたのですが、EMSが出てくるなら、ソニーが車を作る可能性はあります。

 

さて、気になったのは、そのとき、「SONY」の名前で自動車を製造販売するのか、「VISION-S」のような別の名称にするのか、あるいは自動車メーカーを買収するなどして、その名称で売るのかという点です。

 

昔、松下幸之助が腕時計を出すのかどうか問われたとき、腕時計は時計メーカー(SEIKOやCITIZEN)の領域といって、腕時計を出さなかったという話を聞いたことがあります。

腕時計は非常にブランドが重要な領域ですので、性能的に大差ないものを作れても、電機製品のブランドでは売れないという意味で理解しています。

 

ソニーは、既にエレキのブランドではなく、音楽、映画、ゲーム、金融のブランドでもあり、相当にブランド拡張していますが、更に自動車にまで拡張するのか?という点です。

 

コンセプトカーの名称の「VISION-S」の「S」は、「SONY」のことでしょうから、ソニーが車を作ればこうなるよという、コンセプトカーの名称としては理解しやすい命名です。

 

日産の政府債務保証の記事が出ていますが、おそらく2050年に向けて、国内外の多くの自動車メーカーが業態変換しないといけなくなるのでしょう。

この記事によると有形資産は不要ですので、ソニーにとっては、しがらみの多い既存の自動車会社と組む意味は少ないように思います。

 

そうなると、時計の場合の「CASIO」の「G-SHOICK」のように、「SONY」が独自ブランドで自動車メーカーになるのかもしれません。

 

あるいは、

ミノルタのαや、Ericssonのように、一時的あるいはサブブランドとしてなら、自動車のブランドを活用するかもしれません。

 

まあ、「VISION-S」はやはりコンセプト名みたいですので、本式のネーミングが必要になりそうです。