ドイツの地裁判決
2020年8月22日の日経に、コネクテッドカーについての、ドイツの地裁判決が出て、ノキアが勝ちダイムラーが敗訴したという記事がありました。
つながる車に特許リスク ダイムラー、ノキアに敗訴 (写真=ロイター) :日本経済新聞
- フィンランドのノキアが、ダイムラーに対して、ドイツの裁判所で起こしていた裁判は、ノキアが勝訴
- 4G関係の特許について、ダイムラーの侵害を認め、差止を命じた
- 4G特許は、標準必須特許だけでも十数万件、5G特許はその数倍
- 完成品メーカーは、部品メーカーが許諾を受ければ良いとの立場
- クロスライセンスができず不利との考え
- FRAND宣言の非「差別的」に該当するかが争点
- ノキアの主張は、「同じ供給網ならどの企業に許諾するかは自由」との立場
- 高額の使用料に。今回は1台あたり15ドル。今後高額化するか
- BMWはすでに、アバンシと契約
- 日本の経産省は、4月に自動車メーカーの意向で、部品メーカーにもライセンスすべきと指針
- ドイツの判決が確定すると、日本の自動車メーカーも交渉せざるを得なくなる
- 5Gではファーウェイもアバンシに参加か
- 技術の高度化に伴い、特許料も引き上げか
2020年8月19日の日経には、ダイムラーは控訴する方針という記事がありました。
コメント
どうも、この問題は、通信機器メーカー有利に進みそうです。本来、誰にライセンスするかは、権利者の自由と言われれば、そうだろうなと思います。
なんとなくですが、こうなるのではないかと思っていましたので、やはりそうかという感じです。
記事では、ノキアとアバンシが出ていますが、どんな関係なのでしょうか?
さて、実施行為独立の原則ですし、部品メーカーが特許処理をする商習慣があるといっても、商習慣は変化することもあるでしょうし、自動車メーカーだけに有利にはできないような気がしました。
ドイツは、通信機器メーカーよりも、自動車メーカーの国ですが、そこでも、通信機器メーカー有利の判決が出るというのは、ドイツ、あるいは、欧州の裁判所は、政治から独立して判断しているというか、流石だなと思いました。
独禁法の解釈とか、契約の考え方とか、FRAND宣言の射程範囲とかが論点ようでしたが、一番の感じたのは、ドイツの判決が世界の標準になるんだという点です。
特許は属地主義が支配するとはいえ、グローバル企業の動きは国境を越えています。独禁法、契約などは、ある程度は国を超えた見方がされ、世界の趨勢から日本だけ別ということはなかなかできないだろうなと思います。
私は、商標がメインなので、そこまでは感じていなかったのですが、特許の関係者の飲み会の席で、自動車メーカーの知財力と、電機メーカーの知財力では相当な差があるということを電機メーカーの知財出身の弁護士・弁理士あたりから聞いたことがあります。
企業の中での知財の位置づけが全くちがうというのです。電機メーカーでは確かに重視されていたように思います。まず、人数は違いますね。
自動車は、部品メーカーは多いですが、完成品メーカーの数が非常に限定されているので、これまでは特許的には比較的恵まれた状態だったかもしれません。
通信企業と特許で戦うのは、それは大変そうです。自動車メーカーも、一番のエリートを特許に投入しないといけない時代になったということでしょうか。