Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

新・商標法概説(その53)

業務記載の廃止、標準文字、国語主義

 

業務記載については、商標法条約により、手続きの簡素化の観点から廃止された。

ただし、願書に記載を要求しないだけであり、審査はあり、例えば銀行のように法的な業務制限のある企業が、明白に行うことができない商品・役務について商標出願をした場合は、「自己の業務に係る商品(又は役務)について使用しないとして、登録を受けることができない。

 

なお、サービスマーク登録制度導入時に問題になったことだが、子会社の業務は「自己の業務」と見る(商標審査基準)。

 

標準文字は、出願人が商標の態様について特別に権利要求しないときに、願書に標準文字と記載して、商標を願書中にワープロ等で直接記載できることとした制度。

イギリス、米国等の多くの国で採用されているもので、特許庁の事務所のため、出願人の負担軽減のために導入された。

標準文字の文字数は30文字以内とされている(※ 知りませんでした)。

また、マドプロ出願の「standard characcters」である旨の宣言は、商標法第5条3項の標準文字としては取り扱わない(※ 知りませんでした)。

標準文字では、図形、縦書き、二段書き、大小の級数の書体、色彩、花文字などはNG。

この標準文字の効力の範囲が、通常の登録商標に比べて広くなる又は狭くなるということはない。

 

商標法条約では、原則として各種の説明書を禁止しているが、3条2項の説明書、事業計画書、指定商品に関する説明書などがある。

 

最後に、国語主義。願書などはすべての書類は日本語で作成しなければならない。外国人の委任状、優先権証明書、外国登録商標証明書などは日本語の翻訳文が必要。

 

コメント

商標法条約は、いろんなことを決めた条約で、このあたりにも影響が出ているようです。

 

会社に入ったころは、願書は紙の書面で作成していたのですが、商標見本は必ず作っていましたし、業務記載もしていました。

商標見本は、会社に出入りの名刺屋さんにお願いして、ワンセット20枚で800円とかだったと思います。

指定商品も、第11類の短冊表現すべてのゴム印があり、それをポンと押し、

業務記載も、決めているゴム印があり、それをボンと押し、

委任状は、社長特許印というものがあり、それをポンと押し、

10分で願書ができました。

4時半ぐらいまでなら、事務の人に出してもらえましたし、急ぎのときは、6時ぐらいまで待ってくれたような気がします。

昔は、いまよりも牧歌的です。

 

マークの類似判断以外は、あまり検討していなかったなと思います。

 

それから考えると、この30年で商品が非常に難しくなったのではないでしょうか。今の類似商品役務審査基準を見ても、電話帳のような分厚いものになっています。

また、複数の類似群に該当する商品が増えており、各区分の後ろの方にありますが、これは蟻の一穴になり、数十年経つと、類似群コードが崩壊する可能性があるのではと思ったりします。

 

標準文字は味気ない面があります。30年前は、商標公報の回覧があり、印象に残っている会社があります。お菓子の会社で、手書きの出願でした。

当時もコピー機はあったので、手書きでもコピーで同じものを作成することは可能でしたし、プリントゴッコという裏の手段もあったのですが、非常に印象に残っています。

各社、フォントが違いましたので、フォントを見ただけで、自社の出願かどうか分かったりもしました。

 

国語主義については、特許出願などが英語できる(翻訳文は必要)と聞いているのですが、商標出願はできないのでしょうか?

特許と差を設ける必要性はあまりないように思いますが、どうなんでしょうか?