アンドロイドとJavaコード
2020年10月9日の日経に、グーグルとオラクル間でアメリカの最高裁において争われている著作権の訴訟の記事がありました。
グーグル対オラクル、著作権大型訴訟が最高裁に IT大手の優位を左右 :日本経済新聞
- 10年間争われている著作権訴訟。オラクルの主張では少なくとも約1兆円の損害額
- 判決は2021年夏
- アンドロイドを開発する際に、Javaのコードから約1万1000行を組み込んだ
- ソフトウェア開発者がアンドロイド用アプリを開発しやすくするため
- 一審はグーグル勝訴
- 控訴審はオラクル勝訴
- グーグルはAPIについてのコードに著作権が認めらるとしても、フェアユース(公正利用)であるとの主張
- 特定の企業が第三者の使用を制限すれば、競争が阻害されるという主張
- オラクルは、JavaのAPIはアプリ開発者は自由に利用できるとするが、OSに組み込むにはランセンスが必要と主張
この事件については、GIGAZINEの記事が詳しいようです。
GoogleとOracleが繰り広げる訴訟で「APIは著作権保護対象か否か」について最高裁判所が審理に乗り出すことに - GIGAZINE
GoogleとOracleが「APIの著作権」を巡って最高裁判所の口頭弁論で対決、Googleが不利との見方 - GIGAZINE
コメント
そもそも、APIとは何かよくわかりません。
しかし、GIGAZINEの記事によると、APIの著作物性は既に一審で認めらているようです。ポイントは、著作物性を前提として、フェアユースにあるようです。
しかし、今回の最高裁では、APIの著作物性から議論をし始めているようです。
コード1万1000行のコピーとありますが、一方、これは全体の1%未満という数字もあります。商標なら全体観察ですので非類似ですが、ソフトウェアの著作物の場合は、著作物性が認められるなら、たとえ1%でも著作権侵害となるような気がします。
日本の著作権の侵害では、著作物性、依拠性、類似性が問題になりますが、OSのようなソフトウェアでも部分的な類似性を見るんでしょうか。
今回、メインの論点はフェアユースのようですが、日経には、競争促進という面では、グーグルは7割のシェアがあり不利ではないかとあります。
また、GIGAZINEには、
Microsoft、Mozilla、および他のいくつかの企業はGoogleの請願を支持しており、巡回区控訴裁判所の決定はソフトウェアプラットフォームで動作するプログラムを生み出す開発者の能力を破壊するものだと指摘。非営利団体のパブリック・ナレッジや電子フロンティア財団も、Googleの支援を表明しています。
とありますので、表面的な競争促進ではなく、より深い意味での競争促進(APIの著作物性に戻るのかもしれません)では、意見が割れているようです。
互換性やスタンダードにも関係しそうです。
GIGAZINEの記事にありますが、オラクルの社長とトランプ大統領は近い関係にあり、保守派の判事はオラクル支持のようです。一方、グーグルを支持するのはリベラル系の判事という図式があるようです。
このぐらいの裁判になると、政治的なものも相当関係しそうです。