Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

グーグルが六か国200メディアに対価支払い

3年で1千億円超

2020年10月3日の朝日新聞で、グーグルが世界のメディアにニュースの対価を支払うという記事がありました。

  • ニュースの対価
  • 新聞や雑誌のコンテンツ作りに貢献する
  • 各国の規制強化に対応
  • ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、英国、オーストラリアの6ヵ国
  • 3年で10億ドル
  • 今後、インド、ベルギー、オランダにも
  • グーグルはニュースの見出しを無料で表示し、各国が反発。規制強化
  • フランスの報道機関への支払命令
  • 豪州のニュース使用料の支払義務付け

 

コメント

単純計算で、1年で333億円です。200メディアですので、1メディアあたり、年間で1.67億円程度の収入増になります。

中小メディアにとっては大きな金額ですが、大手メディアであればそれほど巨大な金額ではないように思います。

 

また、この国のリストを見ていると、米国が抜けています。米国ではこのニュースの見出しが政治問題化、法律問題化していないようです。

米政府とすれば、グーグルは米国企業であり、米国に貢献しているという面があるから、排除には動かないのではないかと思いました。

一方、米メディアは、ウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズを見ていても、独自の課金体制があり、欧州や中南米のメディアほどは経営にマイナス影響がないということだろうと思いました。

 

グーグルの、Webサイトのニュースのところを見て、設定で、言語や地域が選択できます。それを選択すると、日本のグーグルニュースと同様な状態になります。

ニュースがまとめて表示されており、見出し部分が出ていて、重要そうな部分が一言だけ引用されており、出典情報があります。クリックすると元々のニュースサイトに飛びます。

世界中同じ仕組みだと思います。

 

そもそも、見出しに著作権があるのか、リンクは違法か、などの法的な論点があると思いますが、普通は見出し程度の短いものは著作物性がありませんし(誰でも使える言葉です。日本の俳句は世界で一番短い文学といわれます。)、リンクを認めないということはWeb文化を否定することになります(連絡要請などは別として)。

よって、この面から、この問題を考えることは難しいように思います。

 

しかし、グーグルは利益を得る一方で、他のメディアは衰退するというのであれば、何かがおかしいということになり、グーグルは他人に迷惑をかけて、自ら利益を得ているというのは公平ではない。広い視点ではそうなるのだろうと思います。

そうなると、ニュースに対価という議論になるのだろうと思います。

 

それはさておき、この6か国に、日本の名前がありません。日本のマスコミの経営は悪くなっていないということでしょうか。

日本では、グーグルニュースよりも、ヤフーのニュースを見る人が多いということでしょうか(マスコミとしてもグーグルだけに主張すると不公平となる)。

 

ただ、もし、不利益を被っているなら、主張すべきではないのかという気はします。権利とはそういうものです。国が与えるものではありません。個人が主張を通じて勝ち取るものです。

あるいは、日本も米国のように課金モデルが成功しつつあり、収益性にとってあまり問題ないようになっているのでしょうか。