2020年10月19日の日経に、文化庁が国会図書館蔵書のオンライン送信を検討中という記事がありました。
図書館 オンラインへ始動 文化庁、著作権法改正へ作業部会 既存ビジネスに影響も :日本経済新聞
- 5月下旬に知的財産戦略本部が、図書館の蔵書へのアクセスを容易にするために、デジタル化に対応した措置を講じる方針
- 絶版などの資料について、直接各家庭に送信可能にする案
- 図書館がメール送信し、権利者に補償金を支払う案の2案
- 電子書籍ビジネスへの影響が懸念される
- 著作権者ではない出版社にも還元されることが必要という意見
- 米国でのグーグルの図書館蔵書のスキャンと検索は、最高裁でフェアユースとなった
- 欧州では政府が著作権者に補償
というような内容です。
また、2020年10月16日の日経電子版によると、
国会図書館、蔵書のデジタル化加速 遠隔利用も拡充 :日本経済新聞
- 大規模なデジタル化は自民党の知的財産戦略調査会が主導
- 自民党や国会図書館は5年で190億円程度を確保したい考え
- すでにデジタル化した書籍は主に1968年以前のもの
- 今回は1969~2000年に刊行した出版物を対象にする方向
とあります。
コメント
法律関係に限らないですが、書籍や論文などすこし学術的なものを読むと、引用文献があり、それが見たいなと思うこともあるのですが、なかなか入手できませんし、図書館まで行く時間もありません。
オンラインで見ることができると便利だろうと思いますし、日本のすべての学術の発展に寄与するのではないかと思います。
著作権者や出版社の権利や利益もあるでしょうから、何らかの調整が必要ですが、文化庁にワーキングチームが立ち上がっているようです。
図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム | 文化庁
知財の大学教授や弁護士がワーキングチームのメンバーになっているようです。主に著作権法の改正などを議論しているようです。
なお、当たり前というと当たり前なのですが、国会図書館は、行政府ではなく、立法府である国会に所属するようです。
現在デジタル化が完成しているのは、主に1968年以前のものとあり、今回の予算要求でデジタル化がされるのも、1968~2000年までとありますので、まだまだかかりそうです。今が2020年ですので、20年分はデジタル化されないことになります。
2000年分までデジタル化されたときは、もう5年たっているので、25年分(四半世紀分)のデジタル化資料がないことなります。オンラインで入手できるのは、古い資料ばかりとなります。
新しい本や、雑誌はコンピュータを使って編集しているでしょうから、国会図書館への納本時に、電子で納本するようになっているのでしょうか。紙を一旦、経由してスキャンする必要はないように思いますが、もしかすると、紙が前提になっているのかもしれません。
少し調べてみると、電子納本は、電子書籍については始まっているようですが、紙の書籍は実証実験をやっている段階のようです。
もともと、紙しかないなら仕方ないですが、作成しているときのデータがあるならデータで納本するようにすることも重要ではないかと思いました。