コンビニの2020年問題
少し古い情報ですが、2020年9月26日の日経に、ミニストップの利益折半契約に関連して、コンビニの2020年代問題というものが記事になっていました。
コンビニFC 引き留め腐心 ミニストップ、利益折半に見直し セブンなど3社焦点 :日本経済新聞
- ミニストップは、利益を本部とFCで分け合う新契約
- 食品廃棄ロスや人件費を本部と共同で負担
- 5年を程度をめどに全国2,000店舗で切り替え
- 東日本大震災で「社会インフラ」としての評価が高まり、出店ペースが拡大
- セブンのFC契約期間は15年間
- ファミリーマートとローソンは10年間
- 2023年から5年間で、全体の26%の約15,000店が契約満了
- これまで、セブンの契約更新率は92%と高かった
- コンビ二オーナーの利益は悪化
- 人件費は上昇
- 本部は、店舗数の維持が必要
- 店舗の利益の改善が必要
などとあります。
コメント
ミニストップの発表は、以下です。
https://www.ministop.co.jp/corporate/release/assets/pdf/20200925_10.pdf
確かに、人件費や固定費を差し引いた事業利益を、本部と店舗オーナーが折半するようです。
従来型のフランチャイズのシステムとは違い、本部がかなりリスクを負っています。
本部にとってはリスクが少ない方法を敢えて捨てて、リスクのある方法をとるのは、公正取引委員会の方向性か、他のコンビニから店舗を大きく奪うためのものか、どちらなのでしょうか。
利益折半というのは、株式会社の原始的な形態である、大航海時代の利益の分け方を彷彿させます。
コンビニに限らず、フランチャイズ一般にそうなのですが、品質管理をベースにしたブランドライセンスのかっこうの事例であり、商標使用許諾の話をするときに事例として挙げてきました。
本部から、スーパーバイザーが派遣される点は、商標監査(ブランドオーディット)を日常的にやっていることになります。
この点は、これからも変わらないと思います。
替わるのは、利益の分け方です。利益の分け方は、実はフランチャイズのシステムでも色々あります。
毎月の定額のロイヤルティだけという方式、売上の一定比率という方式、フランチャイザーがフランチャイジーに販売する商品の売価から利益を得る方式などです。
今回の事業の利益を折半するというものは、制度としては非常に分かりやすいように思いますが、折半というのは、本部に有利になるのか、加盟店に有利になるのか、どちらもありそうに思います。
従来型のコンビニのロイヤルティのシステムでは、店舗を加盟店側で提供する場合と本部で提供する場合では、料率が違ったと思います。
ミニストップの場合で、30%~70%という料率の違いがあったようです。
単純に比較はできませんが、50%という数字は、30%の店舗の人にとっては不利に、70%の店舗の人には有利になりそうです。
これからは自分で店舗を提供するタイプの店舗は減り、本部が店舗を提供するタイプが増えるのかもしれません。
昨日の簡易店舗の話もそうですが、最近のミニストップは、相当にアグレッシブです。イオンが本気になって、ミニストップ事業の活性化を図ろうとしているということでしょうか。
家のちかくに「MINISOF」(「T」を抜いているようです)というソフトクリーム店が出来ているのですが、「MINISOF by MINISTOP」とあり、エンドースブランドを使っており、ミニストップというコンビニに、存在感がでているなという感じです。
ドミナント戦略で、同じコンビニばかりの地区があるので、消費者としては、MINISTOPが増えると選択肢が増えて少しうれしい感じはします。