Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

読んでみました

不寛容社会

近くの本屋さんに平積みされてい、谷本真由美さんの「不寛容社会」(ワニブックス)を読んでみました。 

不寛容社会 (ワニブックスPLUS新書)

不寛容社会 (ワニブックスPLUS新書)

 

この著者の本は、「世界のニュースを日本人は何も知らない」(ワニブックス)に続いて2冊目です。「世界のニュースを・・・」は、ツイッターで発信したものを再編集したようなイメージの本だったのですが、こちらは書下ろした感じです。

著者は元国連専門機関の職員で、これまで、日本、アメリカ、イギリス、イタリアで働いてきた人で、IT業界の人であり、夫はイギリス人であり、本書の執筆時はイギリス在住だそうです。

 

この本の出版年は、2017年ですので、今から3年前です。

事例が、舛添東京都知事の公金の私的流用事件、ベッキーさんの不倫事件と、ちょっと古い感じがします。

当時は、確かに大問題として報道されていたように記憶していますが、3年経つと、舛添さんの事件などなんだったかなと思ってしまいました(公金で、回転寿しの代金を出したとか、ホテル三日月の家族旅行の代金を出したなど)。

 

なぜ、日本人が細かなことで他人叩きをするのかという点について、

  • イギリス人や欧州の北側の国々の国民性の違い
  • 日本のマスコミと欧州のマスコミの違い

などから、説明がされています。

 

舛添さんの件については、より大きな公金支出の石原都知事の件の追求はあまくて、なぜ、舛添さんが叩かれるのか?不倫した芸能人を叩くのはなぜか?という話題が展開されています。

 

日本のマスコミが、公務員化しており、

  • 力のあるものは叩かず、反撃できない者を叩く傾向や、
  • 費用対効果が高いコンテンツをすることが説明されています。

欧米人の基本には、個人主義がありますが、日本が個人主義ではなく、集団主義であることが背景にあるとあります。

そうなんだろうなと思いました。

 

面白いなと思ったのは、イタリア、スペインの記述で、日本人以上に集団主義という点です。これは知りませんでした。欧州は一つと思っていたのですが、南の方に行くと、考え方は大きく違うようです。

イタリア人は、悪口三昧であり、スペインでは同調圧力が日本以上だそうです。

 

知財でもブランドでも、イギリス人、ドイツ人とやり取りすることがほとんどで、イタリア人、スペイン人とのやりとりは、あまりありません。

今後、イタリア人やスペイン人などとのやり取りがあれば、良く観察してみたいなと思いました。

 

また、欧米では、貴族、ブルジョワジー、アッパーミドル、ミドル、労働者、移民などの差が歴然とあるそうです。

 

そして、「階級」(class)と「階層」(social stratum)というものがあり、

  • 階級:歴史的、文化的なもの。身分など歴史的な背景。階級の移動は難しい
  • 階層:所得や財産、職業、政治などによるもの。階層の移動は可能

とあります。確かに、貴族に生まれた者でないと、貴族にはなれません。

 

しかし、近年、教育等で移動できるばずの、階層間の移動が、アメリカやイギリスで、難しくなっているそうです。

補助金のカットが原因なんでしょうか。教育費の高騰は大きな問題だろうと思います。

 

「世界のニュースを・・・」も同じですが、この著者の本は、事例が面白いなという本です。

 また、著者は、英語教育もしているようで、本もありますので、今度は、そちら方面の本も読んでみようと思いました。