Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

東京都内の上場企業

本社の移転、縮小

2020年11月12日の日経に、国土交通省の調査で、東京都内の上場企業では、26%の企業が本社移転を検討しているが、その多くは東京圏への移転であるという記事がありました。

新型コロナ:上場企業の東京本社、移しても東京圏に 国交省調べ :日本経済新聞

  • 上場会社約400社の調査
  • 26%にあたる約100社が本社移転か縮小を検討
  • 移転先は、東京23区内が73%、23区外が17%、埼玉・千葉・神奈川の何れかが21%。名古屋圏や大阪圏がそれぞれ10%未満
  • 理由は、賃料削減、就労環境の改善、東京近くの利便性
  • テレワークの実施は81%。2019年の23%から急増

という内容です。

 

コメント

元ネタは次のようです。

https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/content/001371777.pdf

国土政策:企業等の東京一極集中に関する懇談会 - 国土交通省

 

企業等の東京一極集中に関する懇談会という会議があり、今回の会議が4回目とあります。

 

さて、移転先候補は複数回答のようであり、実際にどこに移転するかはまだわかりません。

パソナの淡路島移転が話題になっていますが、地方への移転はまだまだ少数派ということのようです。

 

ポイントはテレワークだと思いますが、テレワークは85%の企業が導入しており、導入時期については60%の企業が、2020年1月以降に導入とあるので、コロナが25%だった導入率を85%に押し上げたということで、やはりコロナのパワーは強烈です。

通常は、1年に5%づつアップしてきたようですが、一挙に12年分アップしています。

 

テレワークに向く仕事と向かない仕事があり、

「情報システム」、「企画」、「営業」、「広報」、「研究・開発」などは向く仕事で、

向かない仕事は「総務」、「経理」とあります。

 

「営業」がテレワークに向くというのは、意外な感じですが、そもそも直行直帰などをやっていたので、事務所に行くのは週一回の会議だけで良いのかもしれません。

 

国土交通省としては、コロナによるテレワークの普及や押印の廃止をてこに、大胆に企業の移転をして欲しいというところかもしれませんが、やはり東京都内になっていまうようです。

 

また、本社の移転ではなく、縮小だけを検討している会社も、多いようです。

 

以前も書きましたが、実は東京以外では1000名以上の単位で外資の企業の誘致をしようとしても、地方には、適したオフィスがなく、インターナショナルスクールなどの学校や、外国人に適した住居がなく、結局は東京になってしまうという話を聞いたことがあります。インフラの問題です。

外資系の企業で、東京でも、大阪でも、福岡でも、どこでもあまり関係ないという前提で調べても、結局東京になるという話でした。

 

テレワークと印鑑廃止程度では、首都圏から、出ていくパワーに欠けるということでしょうか。

 

コロナで地方で生まれた企業が東京を目指さなくなるというのはあるかもしれませんが、反対に東京のオフィス賃料が安くなり、東京に出てきやすくなるという企業もあるかもしれません。

 

最近は聞かないですが、道州制を導入するぐらいのことがないとやはり難しいような気がします。

コロナも収束までには数年かかりそうですし、これから移転を検討するという会社も多いでしょうが、地方移転のインセンティブというか、メリットが必要なように思います。