One NDA(Hubble)
2020年11月20日の日経夕刊の一面に、秘密保持契約を統一する動きが紹介されていました。
秘密保持契約書を統一 野村不動産など100社、商談早く :日本経済新聞 (nikkei.com)
- プロジェクト名はOne NDA
- 提唱者は、Hubble(契約書共有サービスのスタートアップ)
- 現在、野村不動産、ネスレ日本、ウォンテッドリー、ミロク情報サービスなど100社が参加。年内に200社に
- NDAはある程度定型的な内容を形式的に結ぶ場合が多い
- 大企業が法務知識や交渉上の立場の弱い中小企業やスタートアップの知財を吸い取る場合もある
- 参加は、大企業にとっては、大企業有利ではない、対等な立場に立つと示す効果
- 秘密情報の定義は広めにした
などとあります。
コメント
夕刊ですが一面です。法務の個別話題の紹介としては異例だなと思います。中小企業やスタートアップの支援は重要ですが、補助金での政府の支援にも限界があり、Hubbleという法務スタートアップの取り組み自体が中小企業やスタートアップの支援になっており、同時に、野村不動産などの大企業が賛同しているという点で、可能性があり、かつ、効果のある取り組みのように思えます。
そのあたりが、一面で紹介される理由ではないかと思いました。
さて、Hubbleという会社を知らなかったのですが、Wordを使った法務業務(特に契約書のチェック)をサポートするシステムの会社のようです。
Hubble | 契約書の管理・共有をスマートにするソフトウェア (hubble-docs.com)
顧客は主に企業法務部で、中に法律事務所があるようです。
日経に出ていた、One NDAについては、特別サイトがあります。企業の内部で合意を取るのは大変そうですが、One NDAに参加すること自体は至って簡単そうです。
OneNDA | NDAは、ひとつのかたちに。 (one-contract.com)
面白いのは、契約書案が全部出ているとろこです。
通常であれば、NDAとはいえ、あまり契約書全文をみせないように思いますが、プロジェクトの性質上でしょうか、全文を出しています。
自社のNDAの標準書式に借用することも可能なような気がしました。
人事系の契約書なども、Web上で多数公開されています。
雇用契約書の雛形と書き方|無料ダウンロードは書式の王様 (bizocean.jp)
経済産業省が公開する「NDA(秘密保持契約書)ひな形」をご存知ですか?【Word版ひな形ダウンロード付】 - サインのリ・デザイン (cloudsign.jp)
このような、役所の主導で、デファクトとして共通条項にしていくという方法ではなく、今回のものは、一つの同じルールにしましょうというのがポイントです。
今回はOne NDAというプロジェクトですが、同じようなものが複数出てくると、複数のプロジェクトのどれを選択するか、あるいは、複数に入るか、企業としては考えないといけなくなります。まあ、どちらにしても大差はないのだろうと思いますが。
One DNAは、Hubbleのサービスの入り口になり、企業を顧客にする方法なのでしょうか?あるいは、既存の顧客へのサービスの一環なのかでしょうか?あるいは、社会的な貢献なのでしょうか?
いずれでもあるように思いました。