主人公の名前:「リュカ」と「リュケイロム・エル・ケム・グランバニア」
2020年12月2日の朝日新聞のニュースQ3のコーナーで、小説の作った主人公の名前が、映画で無断で使われたことが、裁判になっているという話がありました。
- 映画:「ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁」2019年8月公開
- 小説:「ドラゴンクエストⅤ」1993年出版
- 主人公の名称:リュカ
- その称号:リュケイロム・エル・ケム・グランバニア
- 経緯:事前に、名前の使用を知らされていなかった。スクエア・エニックスに協議を求めたが、著作物ではないとして、協議に応じなかった
- 訴訟:小説の作者は、2020年11月24日に、長野地裁佐久支部に、200万円の損害賠償と謝罪広告をもとめて提訴
- 著作権:上野教授の話として、人物像や名前までは著作権は及ばない
- モラル:作家の三田誠広さんはモラルの問題があると指摘
というような内容です。
他に、ITメディアの2020年11月26日の記事が参考になります。
小説版ドラクエ著者、新たにスクエニ・東宝などを提訴 「主人公の名前を盗用された」 - ITmedia NEWS
- 原作ゲームは主人公の名前をプレイヤーが自由に付けられるシステム
- リュカの名前や称号は、小説家のオリジナル
- 映画は主人公の名前「リュカ」の無断使用と、称号を「リュカ・エル・ケル・グランバニア」と改変
- 既に、2019年8月には名誉毀損で民事訴訟、2019年12月には詐欺や不正競争防止法違反、著作権法違反などの疑いで刑事告訴
とあります。
コメント
ITメディアによると、朝日新聞にある最近の訴訟の他にも、訴訟や刑事告訴があるようです。もめているようです。
2019年8月2日の段階での小説家の声明文などをまとめたサイトもありました。
ドラクエ 映画 ユア・ストーリーが訴訟。提訴したドラクエ5小説作者(久美沙織氏)の理由や声明全文【#リュカ搾取】【まとめ】 | みつきよ (mitsu-kiyo.com)
映画の制作委員会が、小説家に一声かけて了承を取り、クレジットで紹介するというようなことをしていれば、良かったという感じです。
実際は、事後的に、小説家の前に弁護士を含めて色々な人が登場して話をしているようです。人が増えるということは、話も少しづつ変わるので、小説家も混乱してくるだろうと思います。
そんなとき、弁護士に相談して、一度、提訴してみて双方がテーブルについて、和解の道を探ることは必要なことのように思いました。
リュカという名前の使用自体は、確かに著作権は及ばないのだろうと思います。称号のリュケイロム・エル・ケム・グランバニアも、複雑な名前ではありますが、著作物と言えるかどうかは微妙な感じもします。称号は長さ的には最も短い文学といわれる俳句と大差ないのですが、如何せん名前であり、思想感情の創作的表現ではないとされそうです。
一方、小説家に一切説明をしないのも、権利以前のビジネスの問題として、どうかなという気はします。そんな会社とは組みたくないというがあがって来ないとも限りません。
こうなると、小説家側も、商標権でも取っておかないと、まともに話を聞いてもらえないかもしれません。
今回、小説家は、提訴という道を選んでいますが、商標権でもあると映画製作サイドも違った対応になったのではないかと思いました。
商標制度の目的外使用のようで、望ましいことではないかもしれませんが、著作権で保護されないなら、そうでもしないと仕方ないように思いました。