Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

日本ネーミング大賞

鼻セレブ」に決定

2020年12月2日に、日本ネーミング大賞が発表されています。

日本ネーミング大賞 (j-naming-award.jp)

一般社団法人日本ネーミング協会の実施したものです。

 

受賞したのは、

■日本ネーミング大賞:

■優秀賞:

■審査員特別賞

とあります。

 

コメント

有名なネーミングが並んでいます。個人的によく知らなかったのは、ライオンの「NONIO」だけでした。

口臭科学から生まれたNONIO(ノニオ) | ライオン株式会社 (lion.co.jp)

 

これまで見たことが無かったので、はじめての試みではないかと思います。受賞ネーミングをみていると、以前からあるものばかりです。特に、今年の新製品という訳ではありません。

ヒット商品番付などは、今年の、しかも上期のもの、下期のもの、と限定してやっていますし、新語・流行語も、今年のものですので、毎年発表をやっても新鮮なのですが、このネーミング大賞は来年以降、どうするのかなと考えてしまいました。

多少の入れ替わりがあるかもしれませんが、カップヌードルやAIRismを超えるようなネーミングが簡単に出てくるとは思えません。

 

募集要項を見ると、

2019 年 10 月 1 日から 2020 年 9 月 30 日までの間に、日本国内で販売または提供されている「商品名」「サービス名」「社名」等であり、そのネーミングは商標登録されていること。また、一般世人の間に広く知られ、親しまれていること。

とありますので、今を切り取るということではあります。

まあ、来年もするのでしょうから、楽しみにしておくことでしょうか。

 

さて、この実施主体の日本ネーミング協会ですが、2018年11月に出来た団体で、会長はネーミングの第一人者で、本を沢山だされている岩永嘉弘さんです。一度、講演会を聞いたことがあり、非常に面白かった記憶があります。 

nishiny.hatenablog.com

 

理事には、クリエーター系の人が多いようですが、弁理士では、飯島紳行さんの名前がありました。

 

活動内容は、日本ネーミング大賞の実施のほか、

  • ネーミングデータバンクの確立
  • ネーミング年間の編集・発行
  • セミナー開催(商標セミナーもある)
  • 推薦および業務紹介
  • ネーミングの貸借業務及び売買業務
  • ネーミングに関するコンサルティング業務
  • ネーミングに関する情報発信及び受信業務

とあります。

活動内容|一般社団法人 日本ネーミング協会 (naming.or.jp)

網羅的です。

 

特に、専門家の関与があるようですが、ネーミングの貸借業務及び売買業務です。これは時々やるという会社が出てきますが、成功したという話をあまり聞きません。

日本の商標の許諾被許諾の運用は、使用実態を無視した行き過ぎた登録主義からくる制度の欠陥のようなものです。

企業で商標管理をしているときは、年に数回は許諾被許諾の交渉をしましたが、運用としては、日本企業同士の場合、当事者間で解決することがほとんどで、弁護士や弁理士が入ることは少ないと思います。

50万、100万、300万といったお金よりも、企業の付き合いという側面が強い運用です。

この点、商標マーケットのような仕組みが、実際に機能するのかなという心配はあります。

 

また、根本的な制度論でいうと、日本の行き過ぎた登録主義の是正が、大きなテーマであす。使用していない限り、損害賠償請求ができない、あるいは、差止請求ができないという法制度に、修正する必要があります。

このあたりが達成させると、そもそも、不使用商標の許諾被許諾という仕組みがなくなり、世界で標準的な同意書制度に一元化されます。

 

様子を見るしかありません。