エコーチェンバー効果とオープン・ソース・インベスティゲーション
2020年11月25日の日経の大機小機のコーナーの「米メディア 栄華と変質」で、「エコーチェンバー効果」と「オープン・ソース・インベスティゲーション」という言葉を見ました。
米メディア 栄華と変質: 日本経済新聞 (nikkei.com)
内容は、
- SNSの情報がジャーナリストの能力を超えてきている
- しかし、人々は「聞きたいことだけを聞き、知りたいことだけを知る」=エコーチェンバー効果
- 一方、NHKの特集番組では、イランでのウクライナ航空機墜落事件の真実をネット空間の膨大な情報を分析して暴く、「オープン・ソース・インベスティゲーション」という方法がある
- メディアも、歴史的な転換期にある
というようなものです。
コメント
「エコーチェンバー効果」と「オープン・ソース・インベスティゲーション」という言葉があったので、少し調べてみました。
「エコーチェンバー(効果)」:echo-chamber (effect)。エコーチェンバーとは、閉じられた空間で音が残響を生じるように設計・整備された音楽録音用の残響室のことをいうようです。
インターネットが普及する前から指摘されてきた議論のようですが、インターネット、特にSNSが増幅しているようです。
「エコーチェンバー(効果)」と似た言葉に「トライバリズム」(tribalism:部族生活、部族主義)があります。Wilkipedia に説明では、次のようにあります。
インターネットによって国や地域を超えて世界中の人々が考え方を共有する「グローバル社会」となるはずの時代でありながら、国や地域よりもっと小さい人々の集団である部族(トライブ)同士が対立していた原始時代に戻ったかのように、特定の考え方を共有するごく少数の人間で構成される極めて結束が強い集団同士が対立しあう社会を指す。
知財の団体でも、知財協会は知財協会の、弁理士会には弁理士会の、学会には学会の、特許庁には特許庁の、裁判所には裁判所の、ブランドコンサル業界にはブランドコンサル業界の、各々好まれる論理や議論のパターンがあると思います。各々少し、偏向というか、議論の特色、焦点がちがいます。
それはそれで健全なのですが、要は自分の属する団体の理論だけが、正しい議論であると考えないことが重要ということでしょうか。
少し冷静になって、引いて意見を聞くということかもしれません。
これに対して、「オープン・ソース・インベスティゲーション」:Open Source Investigation、については、次が詳しいようです。
「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜」 - BS1スペシャル - NHK
Digital Detectives - NHK WORLD PRIME | NHK WORLD-JAPAN On Demand
Wikipediaには、まだ項目が挙がっていないようですが、国際犯罪捜査研究所というところが、研修会をしているようです。
Open Source Investigation | IICI
最近の海外の商標調査結果を見ていると、各国の弁護士からの報告が、Webサイト上の情報を駆使したものになっており、一種の「オープン・ソース・インベスティゲーション」になっており、形式的な登録情報しかない、商標制度の欠陥を補っています。
これはネットのプラス面だろうと思います。