ジョブ型は評価しない(成果主義とはちがう)
2020年12月7日の朝日新聞に、人事制度の考え方として、ジョブ型とメンバーシップ型がり、ジョブ型が脚光を浴びているが、ジョブ型は本来は評価をせず、成果主義とは違うという説明がありました。
ジョブ型という言葉の名付け親である、労働政策研究・研修機構研修所長の濱口桂一郎さんのインタビュー記事です。
- ジョブ型:職務内容や責任範囲を明確にしたジョブディスクリプション(JD)が定められ、必要なスキルも明確。欧米では主流のシステム
- メンバーシップ型:会社は人の集まりであり、人を雇ってもろもろの仕事をさせる。新卒一括採用。就職よりも就社
- 成果主義は20年前に失敗。その企業がJDを評価の物差しにしようとしている
- しかし、本来のジョブ型は、評価はしない仕組み
- ジョブ型は、仕事ができるかどうかの判断だけで、できなければ解雇になる可能性があるだけ(しかし、欧州では労使協議の義務がり、実際は解雇は簡単ではない)
- 欧米では、マネジメント層や高度専門職だけが評価の対象
- ジョブ型は経営者にとっては硬直的、配置転換はできない
- AIで、配達員など請負の仕組みが注目されている。今後、高度な仕事に入ってきて、「雇用の時代」から「請け負いの時代」に
コメント
ジョブディスクリプション(職務記述書)はよく聞きますが、実際、どの程度まで詳細なものなのかは見たことがないのでわかりません。
欧米人は、JDに書かれていることはするが、書かれていないことはしないというものだと理解しています。
人事戦略研究所というところのWebサイトにサンプルがあったので、見てみました。
職務記述書(ジョブディスクリプション)サンプル|人事戦略研究所 (jinji.jp)
人事部長、営業部長、経理課長、工場長、店長のサンプルが載っています。
確かに、細かく書かれていますが、これでもまだまだ抽象的な感じがします。
ジョブディスクリプションの運用は、それはそれで難しそうです。
記事にある20年前の失敗は、富士通の話だろうと思います。この富士通が、今回はジョブ型でリベンジしようとしているようです。
富士通、「ジョブ型」人事制度を導入 幹部社員から: 日本経済新聞 (nikkei.com)
しかし、上記の濱口さんの話とは違い、富士通では、まず、課長職以上から成果主義のジョブ型をはじめて、一般社員に広げるとあります。ジョブ型と成果主義の組合せが、どこまで上手く機能するかですね。
20年前の富士通の失敗は、成果を個人にもとめたので、個人が目標を低く設定してしまい、皆目標をクリアーしたが、組織としては目標をクリアーできないという結果になったことだと理解しています。
富士通の反省は、成果主義は組織単位で確認すべきだったと思いますが、やはり、個人をみる必要があるということでしょうか。
確かに、富士通のようなIT関係では、個人の能力がより重要ですし、他の会社よりは成果が見えやすいので、やってみる価値があるのかもしれません。
さて、上記のインタビューでは、雇用の時代から請け負いの時代が、AIによる指揮監督システムで実現する可能性があるという、ショッキングな内容になっています。
仕事=タスクをAIによって指示されるということのようです。
会社の仕事はタスクの束であり、タスクをまとめたものをジョブとして、そのジョブを雇用した労働者に任せて、その労働者を監督してきた。しかし、タスクをAIが配分すれば、雇用や監督が不要になる。このウーバーのような仕組みが、高度な仕事にまで入ってくると、人々は「デジタル日雇い」になる、という説明です。
最近、ギグワークなどが広がって来ているという話を聞くことがあり、薄々、そうなるような感じはしていたのですが、ウーバーイーツの配達員を見ると、時間に追われて大変そうです。