Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

東京証券取引所の市場再編(名称)

プライム、スタンダード、グロース

2020年12月17日の日経に、東京証券取引所が、2022年4月に市場再編を行い、市場の名称を、プライム、スタンダード、グロースにくくり直すという記事がありました。

東証1部「プライム」に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

これに関連して、2020年12月25日の日経電子版には、プライム市場の上場基準の厳格化の話があり、

  • コーポレートガバナンスの厳格化(社外取締役を3分1以上に、女性・外国人・中途採用者の登用、企業の情報開示、監査の透明性)

  • 企業の株式持ち合い(政策保有株)の圧縮

  • 上場企業は9~12月にかけて自らの希望する上場区分を選択

  • プライム市場に上場する企業は、時価総額250億円以上

  • 東証1部でプライム基準を満たさない企業は600社程度

とあります。

東証、企業統治改善迫る プライム条件厳しく: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

コメント

この話、はじめに反応したのは、プライム、スタンダード、グロースという名称変更です。

また、2022年4月とは少し先の話だなという気がしました。

 

調べると、東京証券取引所は、この話を2020年2月21日に発表しているようです。

nlsgeu000004kjhc.pdf (jpx.co.jp)

実際に変更する2年以上前から、内容を告知し、積極的に周知徹底しているようです。2020年12月17日の段階では、正式名称として金融当局に伝えたという点がニュースバリューがうるようです。

 

今回の再編は、東京証券取引所の前掲のPDFの5ページに概要があります。

この説明によると、基本的には東証一部がプライムで、東証二部がスタンダード、マザーズがグロースで、ジャスダックはスタンダートとマザーズに分かれるようです。

ただ、日経の2020年12月25日の記事にあるように、現在の東証一部の企業も、プライムに残れない企業はあるようです。

 

再編の理由は、投資家からの分かりやすさだと思います。それに加えて、コーポレートガバナンスや企業の株式持ち合いの抑制を図ろうという意図のようです。

 

余裕のなくなった企業は、株式持ち合いなど、あまりしていないように思いますが、まだまだ、東証が株式持ち合いをやめましょうと旗を振らないといけないほど、株式持ち合いが多いということなんでしょうね。

 

基準を明示して、自己判断で申請してもらい、そのチェックをして、再編するという手順で、よく考えられているなと思いました。

 

名称ですが、スタンダード、グロースは、現在のジャスダック内の区分けを踏襲しているようです。それを引き継いだ感じです。

 

よって、今回のネーミングのポイントは「プライム」という言葉の選択になります。

「プライム」という言葉は、「アマゾンプライムビデオ」などで聞きます。よく似た言葉に「プレミアム」があります。

 

辞書をみると、「Prime」は形容詞か名詞で、形容詞で「最も重要な、主要な、最高位の、すばらしい、最良の」、名詞で「最高の状態」などのようです。

一方の「Premium」は、名詞か形容詞で、名詞の「賞金、賞、報奨金、ボーナス、割増金」であり、形容詞で第1の意味として「上等な、上質の、高価な」があり、第2の意味として「景品付きの、割増の」とあります。名詞と形容詞で少し意味が違うような感じです。「三井プレミアムアウトレット」の「プレミアム」は、形容詞の意味のようです。

 

M&Aで「価格プレミアム」、ブランド論で「プレミアムプランド」という言葉は聞きますが、「価格プライム」や「プライムブランド」という言葉は聞かないので、「プレミアム」と「プライム」との言葉の使い分けが必要なようです。