特許庁長官と弁理士会会長の2021年の年頭所感を読んでみました。
特許庁長官
糟谷長官 2021年 年頭所感 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
- コロナ
- 2020年の出願件数は特許は減で、意匠・商標は前年並み
- 企業には、戦略的な出願を要請
- リモート化、デジタル化の加速。アフターコロナでは、前回のリーマン後のように遅れないように、イノベーションを促進。特許庁もイノベーションの創出へ
- 特許庁のデジタル化推進。3月に申請手続きデジタル化推進計画。口頭審理のオンライン化
- 特別会計は2014年から赤字。プロセス変更、経費削減、料金見直し
- 審査の品質向上と商標の任期付審査官補を採用
- 意匠法改正「画像」、「建築物」、「内装」は、昨年4月からで800件を超える出願
- 知財ミックスを戦略的に取り入れる企業が増加。特許庁は、事業戦略対応まとめ審査を実施
- スタートアップ・中小企業に対して支援。ポテンシャルが高い企業をターゲットに、知財戦略構築に向けた提案
- グローバル化PPHの充実とJICAを通じて専門家を派遣
というような内容です。
弁理士会会長
令和3年 日本弁理士会会長 新年のご挨拶 | 日本弁理士会 (jpaa.or.jp)
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内閣府の知的財産戦略本部が策定した知的財産推進計画2020は『~新型コロナ後の「ニュー・ノーマル」に向けた知財戦略~』というサブタイトル
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デジタル庁の創設、デジタルトランスフォーメーション(DX)、行政手続きのデジタル化も加速
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全国の金融機関、中小企業支援機関、他士業、アカデミア、或いは、多様な分野で活躍する弁理士同士の連携による「弁理士絆プロジェクト」を事業の中心に据える。中小企業の支援が目的
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コロナによる売上減のために特許等の出願料に苦慮される中小企業を対象とした出願支援を昨年10月より展開
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農林水産関連の知的財産に関する業務を弁理士業務とする
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社員一人による特許業務法人の設立を認める「一人法人制度」を導入する
とあります。
コメント
共通するのは、
- アフターコロナはリモート化、デジタル化、DXの時代
- 中小企業、スタートアップの支援
というところでしょうか。
特許庁は、
- 特許中心から商標・意匠重視へ(知財ミックス)
ということも云っていますが、弁理士会会長は、この点への言及がありません。特許ばかりで少し残念です。
一方、弁理士会の方は、弁理士絆プロジェクトをいうものをやっているんだということを、今日、はじめて知りました。
弁理士絆プロジェクトは、次にありました。
弁理士絆プロジェクト | 日本弁理士会 (jpaa.or.jp)
金融機関、他士業、アカデミア、弁理士同士の絆(連携)とありますが、活動をしているのは、金融機関チームのようです。
弁理士絆プロジェクト金融機関チーム | 日本弁理士会 (jpaa.or.jp)
確かに、中小企業、地域重視をしようとすると、地域の金融機関と弁理士の関係が強くなることは良いことのように思えます。
東京や大阪に偏重し、大企業の特許出願をすることに注力していた弁理士が、知財権の運用において重要な位置を占めるには、中小企業支援や地域支援です。
大企業の出願ばかりでは、高度な業務ができたり、食べるには困らないことが多いでしょうが、弁理士というものの存在意義としてはどうかという気はします。
その意味で、弁理士絆プロジェクトは、良い点を衝いているなと思います。今後、弁理士絆プロジェクトというものがあれば、注目していこうと思いました。