内向きで自己主張が弱いことが原因?
2021年1月17日の日経のThe STYLE(紙面では本誌の一部になっています。電子版は紙面ビューアしかないようです)に、日経の中村直文さん(編集委員兼論説委員)の記事がありました。日本にメガブランドが育たないのは、内向きで自己主張が弱いことが原因とあります。
- 日本の世界でのプレゼンスが低下。グローバルで通用しない
- 世界的メガブランドは強力な自己主張があり、他との違いを際立たせる
- 一方、日本は内向きで自己主張が弱い
- 欧米は、共有部分が小さいのでメガブランドを生みやすい
- 人々の間の違いが大きく、簡単に理解し合えない
- そのため、ブランドが掲げるテーマは広く、必然的に普遍性を帯びる
- しかも、あらかじめ世界市場を見据えており、グローバルブランドとして育ちやすい
- 世界に新しい価値をもたらせるか。例えば、しょうゆはステーキソースで価値が出た。ユニクロは日本発で品質の高さを訴求
コメント
正確にこの記事の考え方を理解するのは難しいのですが、赤で書いた部分が、この文章のポイントだろうと思います。自分なりに解釈すると、
- 人々の間の違い(差ということだろうと思います)がある社会では、均質なものよりも、違いが重要であり、ブランド(企業と読み替えても良いかもしれません)は、差別化、あるいは、より深いテーマ(思想)の差を持っている。テーマ=差に賛同する人も多く、よって、ブランドとして世界で普遍的に成功しやすい。
- まず日本で成功してから、次に海外へというように、日本と海外を分けるような思考方法がなく、はじめから世界市場を見据えており、必然的にグローバルブランドとして育つ。
というように、2つのことを言っています。
1.の点は、考え方ですので基本的なところです。2.は手段系です。
1.のテーマの点ですが、
日本発のメガブランドがないかというとそうでもありません。インターブランドランキングのTOP100はメガブランドのお墨付きのようなものですが、100位までに7つ入っています。日本のGDPは現在世界の4-5%程度ですので、7つ入っているのは検討している方という見方もできます。
201020_BGB2020_press (interbrandjapan.com)
日本企業も、もう少しグローバル化すれば、TOP100に入るのはドコモ、ユニクロ、MUFGですが、ユニクロは時間の問題だろうと思います。
GDPで見ると、中国企業がもっと入っていて良いのですが、ここは中国企業がHuawaiなどを除き、グローバル化してないためだろうと思います。
中国企業も今後ますますグローバル化はすると思いますので、世界で受け入れられるブランドになるには、思想、テーマ、基本的な考え方がしっかりしている必要があるのは、中村さんの云う通りです。
個性というよりは、差を育てるという、時間のかかる話ですし、日本人の均質意識からすると苦手な部分かもしれません。
2.の手段系については、社会の意識の他に、日本の商標制度が内向きなことが大きな課題であり、これは解決可能だろうと思います。
もはや、大正10年法、昭和34年法の、対外キャッチアップ型ではない商標制度に変えないと、井の中の蛙気質が変わりません。
まず、手始めに、商標のマドプロの活用しやすい状況を作ることが、国策としても重要ではないでしょうか。同意書制度を早期に開始する、マドプロの電子出願(諸外国ではやっている)をするなど、やれることはありそうです。
特許庁は、また、グローバルネーミングの重要性の旗振りをすることもできます。井の中の蛙の日本企業に、広い世界へ至る道を示すことは、特許庁や経産省の責務のような気がします。
特許庁や経産省には、日本の商標制度をできるだけ外国と合わせていく努力と、外国商標の一層の旗振りが必要なことのように思います。