原告が逆転勝訴
2021年1月15日の日経電子版に、奈良県の大和郡山市の商店街と福島県いわき市の現代美術作家との間で係争になっていた「金魚電話ボックス」の事件の高裁判決が出たという記事がありました。
判決は、一審とは異なり、原告の現代美術作家の勝訴となり、55万の損害賠償命令が出ています。
「金魚電話ボックス」著作権訴訟、美術作家が逆転勝訴: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 金魚が電話ボックスの中を泳ぐオブジェ
- 著作権を侵害で損害賠償などを求めた訴訟
- 大阪高裁は、商店街側に55万円の支払いとオブジェの廃棄を命じた
- 原告は、水の入った電話ボックス内を金魚が泳ぐ作品を制作。2000年から各地で展示。新聞や雑誌でも取り上げられた
- 大和郡山市のオブジェは2014年、金魚の産地として有名な大和郡山市の柳町商店街に設置され、2018年に撤去
- 受話器から気泡を出す仕組みがある山本さんの作品には創作性があり、著作物に当たる
コメント
ならまち通信社というサイトが、この件を詳細に調べて、時系列で表にしています。ならまち通信社で検索してもらうとわかります。
そこには二審判決の判決文のコピーもあります。現物のPDFなので、非常にリアルです。
新聞の写真を見ても良く分からないのですが、両者とも、電話ボックスを水槽にみたてたものであり、実際に水をはり本物の金魚が入っているようです。
特に、電話機の受話器が中に浮いている状態で、そこから気泡が発生しているとあります。
電話ボックスを水槽に見立てる点の創作性は高くないが、受話器が中で浮いており、そこから気泡が発生していることと相まって、著作物性があるとしています。
あとは、依拠性が分析されて、記の結論となっています。依拠性については、すこし複雑ですが、著作権者の存在を認識したあとの実施例に限定しているようです。
ならまち通信社の分析によると、判決に至るまでも、高裁は和解の提案を出しているようですので、和解のチャンスはあったようですが、結局、和解にいたらなかったようです。
関心のある方は、ならまち通信社のまとめを、ずっと読んでみると、何か発見があるのではないでしょうか。
奈良県の大和郡山市は金魚の産地であり、金魚を活用したオブジェを飾りたいということは分かりますので、別の表現方法であっても、オブジェ作ることは続けて欲しいなという気はします。
金魚ストリート | 郡山柳町商店街協同組合 (yanagimachi-st.jp)