Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

特許出願等統計速報

商標は横ばい

2021年1月26日付の特許出願等統計速報が出ていたので、見てみました。

特許出願等統計速報 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

202011_sokuho.pdf (jpo.go.jp)

これによると、商標は、

2020年1月~11月で、165,252件(前年同期比-2.9%)

2020年4月~11月で、124,049件(同+5.1%)

となっています。

7月、9月、10月、11月と好調なようですので、最終的には、暦年では前年と同じ程度になり、年度では前年を上回りそうな勢いです。

1月に緊急事態宣言が出たので、年度としてはその影響が出てくるかもしれませんが、全体的に、コロナの中では健闘しているといって良いのではないでしょうか。

 

他の法域では、実用新案と意匠が好調で、特許が不調のようです。特許はどの月も、軒並みマイナスです。マイナスもプラスも混在していると意匠や商標とだいぶ違います。実用新案もともと件数が少ないので影響は少ないのですが、ずっとプラスです。

 

特許庁長官も年頭所感で、知財ミックスと言っていたように思いますが、確かに、この数字を見ると、意匠や商標が元気です。

 

国際出願の統計を見ると、PCTとマドプロではその活用程度が大きく違うなと思います。大ざっばに考えて、特許と商標では、出願規模では商標は特許の6割ぐらいの規模がありますが、国際出願の規模同士を比較すると、日本の特許庁が受理官庁になっている数字を比較で、マドプロはPCTの6%程度しかないようです。PCTの方が相当活用されていることがわかります。

特許は、外国出願が必須であるのに対して、商標は、国内偏重であるということが出ています。

 

技術はグローバルに競争があり、グローバル企業がしのぎを削って争うものであるのに対して、商標はハウスマークや一部のグローバルネーミングや技術ブランドなどは別として、そもそも各国の言語の違いがあり、また、各国で受容される言葉には地域性が高く(中国では漢字にする必要があるなど)、同じものを展開できないということは分かりますが、それでもマドプロはもっと使えるように思います。

 

マドプロ導入時のようなマドプロに対する拒否反応は無くなってきましたが、日本企業全体に外国に商標を出願する熱量が、少ないような気がします。

コロナで人の往来は難しくなっていますが、物は以前と同様に動いていますし、商売は続いています。

アフターコロナを考えると、今の3倍程度は、マドプロは使われて然るべきなように思います。

 

また、特許では、大手のグローバル企業が出願件数の上位に並びますが、商標では、上位の会社でも出願件数がそれほど多い訳ではなく、幅広い会社が出願しているという特色があります。

中小企業の人にも、商標の重要性は伝わっているように思いますので、特許庁にお金があるなら、マドプロのプロモーションにお金をかけた方が良いように思います。(マドプロ出願が増えても、特許庁の収入は増えないので、WIPOがプロモーションすべきなのかもしれませんが、マドプロの活用促進活動は、政策としては、良い政策だと思います。)

 

Cool Japanなどで、地方の産品なども、海外に紹介されたりしていますが、幅広い会社に、外国出願をしてもらうようにすることを、どのようにプロモーションするかが政策としても重要ではないでしょうか。