世界史の新常識
図書館で本を借りて、文春文庫の「世界史の新常識」を読んでみました。
昔習った日本の歴史教科書の記述が塗り替えられている点を列挙した本がありましたが、この本は、それにも近いですが、ちょっと違うようです。
複数の執筆者が各々得意なところを担当しているようであり、高校の歴史教科書や大学受験用の勉強では分からないところを、小論文風にまとめてあります。
横の関係や縦の関係が、すこし分かったように思います。
20数名の執筆者には、有名な歴史学者の山内昌之先生、樺山紘一先生もいますし、評論家の中野剛志さん、立命館アジア太平洋大学の出口治明さんもいます。その他は、各々の分野の歴史専門家が多いようです。
カバーに紹介されているトピックスは次のようなものです。
個人的に、面白かったのは、
です。特に、日本人が知らないアメリカ史は面白かったので、これだけでも十分に読む価値があると思います。
- イギリスとの独立戦争を経て、アメリカは独立しますが、ナポレオン戦争でイギリスが手薄になったときに、アメリカはカナダに戦争を仕掛けるのですが、劣勢となりワシントンが陥落、ホワイトハウスが炎上したようです。アメリカとカナダが戦争をしたことがあったことは、あまり知りませんでした。
- 南北戦争のときに、アメリカ北部が一番おそれていたことは、イギリスが参戦して南部を支援することですが、リンカーンは、イギリス世論が奴隷制に反対であることを利用して、イギリスの支援がないようにするため、奴隷解放宣言を出して正義の戦いとして、イギリス参戦を阻止した。
- 歴史的には、民主党が南部基盤で奴隷制を擁護し、共和党が人権重視であり、ウィルソン、フランクリン・ルーズベルト、トルーマンは人種差別の傾向が強かった。トルーマンはKKKに入っていた。
- 国際連盟創設時の日本全権の牧野伸顕の人種差別撤廃の主張は、議長のウィルソンが人種差別主義者だったため賛成多数だったにも拘わらず否決された。
- 民主党は、戦後、従来の人種差別主義では党勢が劣勢になるので、大胆な宗旨替えをして、現在のイメージに塗り替えた。
このあたり、知りませんでした。