パテント2月号の五味さんの論考
パテントの2021年2月号の五味和泰弁理士の「リーガルテックと非弁行為、グレーゾーンの解消制度の利用」を読みました。
- 「リーガルテック」は、多岐にわたる。電子契約、契約業務のマネジメント、契約書の作成・管理などの契約に関するサービスの他、法律書籍検索サービス、紛争支援に関するサービス、AIの特許調査、オンライン商標検索及び登録サービスなど
- そのうち、筆者の会社が行っているのは、「商標登録出願書類の作成サポートを含む官公庁へ提出する書類の作成サポートや、紛争当事者間における紛争処理のITシステムを用いてサポートするサービス」
- 弁理士法75条の非弁行為との関係
- 他人に求めに応じ報酬を得て(有償性)がポイント(※ この点が、セーフハーバー)
- マネタイズの方法に工夫がある
- 出願手続の代理自体は提携弁理士が行う
- 利用者は、権利化だけではなく、商標モニタリングを含む権利活用までをシームレスに実現できるサービスを求める傾向
- グレーゾーン解消制度は、産業競争力強化法7条に基づくもの
- 活用の留意点は、新規事業であること、ある程度の期間がかかること、結果が公表されること
- コロナ、テレワーク、モノからコトへのパラダイムシフト、DXで、士業に破壊的イノベーションが起こる可能性
というような内容です。詳細は、パテントでご確認ください。
コメント
脚注にあっただけで本論には関係ないですが、「リーガルテック」は登録商標だそうです。26条の問題です。
さて、筆者の会社(COTOBOX)のサービスがでたとき、アカウントを取得して、使い勝手を確認したことがあります。
当時は、まだまだかなと思ったのですが、それから3年以上経っているので相当改善されたのではないかと思います。
AMAZONやFACEBOOKなど、インターネット上では破壊的なサービスが生まれやすいので、留意しておかないといけない対象です。
インターネットで広告をし、安価に商標調査や、商標出願の依頼受付をし、登録にならなければ返金しますという事務所が一世風靡したかと思うと、数年も経たないうちに、COTOBOXやTORERUの時代になってしまったという感じです。
返金保証が色あせて見えます。
しかし、シンガポールや韓国を見ると、特許庁自身がCOTOBOXのようなスマホ出願をやっています。そうなると、一挙に競争環境が違ってきます。
フルサービス型の特許事務所は、別の所で調査や、出願以外の別のところで仕事をして、収益を上げるしかありません。
商標の更新は、すでに更新管理会社の業務になっている面があり、弁理士の業務から、少なくなってきています。
おそらく、異議申立や無効審判などの係争関係や、コンサルティング関係が、商標の仕事の中心になるのだろうと思います。
ただ、「士業向けのリーガルテック」が出てくる可能性もあり、それが出ると競争環境がまた一変します。
もう一つ、更新関係ですが、アメリカのようにオーディットが厳しくなり、また、使用宣誓を条件とする国が出てきているので、日本もこれを再導入すると、環境が劇的に変わります。
弁理士も企業も同じですが、商標法の理念に立ち返り、商標とモノの扱うのではなく、「使用」というコトを重視する思考になる必要があります。
昭和34法は、米国法の影響で作ったと言われています。1996年の商標法条約対応の法改正がターニングポイントだったのですが、マドプロ対応、国際化以外に、商標本来の理念が欠落した表面上のものだったなと思います。
米国、欧州やアジアの近隣の商標法をちゃっと勉強して、一旦、総括すべき時期ではないかと思います。