Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標分野のリーガルテックと弁理士の役割

Toreruのお二人の論考

パテントの2021年2月号にあった、弁理士の宮崎超史さんと、土野史隆さんの「商標分野のリーガルテックと弁理士の役割」という論考を読みました。

 

次のような項目について書かれています。

  • リーガルテックとは
  • リーガルテックの種類と市場規模
  • 商標分野のリーガルテックの種類
  • 商標とテクノロジーの相性のよさ
  • 従来の商標テクノロジーと最近の商標リーガルテックは何が違うのか
  • 企業知財部が活用できる商標リーガルテック
  • 特許事務所が活用できる商標リーガルテック
  • 商標弁理士の果たす役割
  • おわりに

気になった記述は、

  1. 特許庁が、商標出願をWebからできるようにする方針
  2. 文字商標の検索ではJ-Plat Patで十分(UI、CXでは課題あり)。ただし、類似度判定ができていない
  3. 画像検索でAI活用が期待されている(TM go 365)
  4. 特許事務所の知財管理系ソフトウェアは、代理人依頼人が重複入力をしている(知財業界が事務的労力軽減:生産性向上)
  5. 依頼人用には無償の更新管理サービスがあるが、特許事務所用にはない
  6. オンライン、クラウド、Webを使った依頼者と代理人の「ワークフロー」サービスが登場(商標案件情報の管理):生産性が大幅に改善
  7. 弁理士は、高度な中間処理、知財創出、知財活用、ビジネスサイドへシフト

というようなところでしょうか。

 

コメント

ご自身のサービスの宣伝ではなく、できるだけ客観的に書こうとされている点で、共感が持てます。

 

特許庁が商標出願をWebからできるようにするというのは、韓国やシンガポールでは良く聞きますが、日本の場合は、特許庁の「さくっと書類作成」のことでしょうか。

電子出願ソフトサポートサイト さくっと書類作成 (jpo.go.jp)

 

少し見てみましたが、出願書類は作れるようですが、マイナンバーや識別番号を確認してきます。また、指定商品・役務のリコメンド機能がありません。

また、出願はできるとして、通知はどうなるのでしょうか?インターネット出願ソフトを前提にしている段階で、個人では簡単には、つかえないだろうなと思いました。

 

マイナンバーなりは必須としても、特許庁と個人や企業が、直接、コンタクトをするように進化していく必要があるのと思いました。

 

特許庁の出願アプリが出るまでは、ToreruやCOTOBOXが活用されるのかなと思います。特許庁は、中途半端なソフトを作るのではなく、これらの企業を気にせずに、個人や中小企業のためになるものを開発すべきだろうと思います。

 

画像認識は、TM go 365もありますが、TM VIEWでもできます。これは特許庁が真剣に検討していたと思いますので、期待ができます。

 

ポイントはワークフローを取り込んだ、クラウドを使ったWebシステムですが、ANAQUAながそうなのですが、導入に大きなコストがかかるようです。

特許情報フェアで見た限りでは、一般的な特許事務所で導入するなら、Dennemeyerかなと思います。クラウドで、客先とデータの共有はできていました。ワークフローとまで言えるのかは、不勉強で分かりませんでしたが、ある程度はできるんじゃないでしょうか。

 

本当は、Mark-iのT-MOSが良いと思うのですが、特許事務所では導入できないそうですし、ToreruやCOTOBOXのワークフローを導入するというもの選択肢としてはあるんでしょうが。。。